私の町には、日本最大の自衛隊の実弾演習場がある。かつては農地で、未墾の地はパイロットファームになるはずであった。矢臼別演習場である。数年前に亡くなられた、川瀬氾二氏が最後まで、反戦地主として国に土地を売らなかった。その意志は今でも仲間によって引き継がれている。
自衛隊の実弾射撃も地鳴りがして、平和な農村は穏やかでない。1997年から、こともあろうに沖縄の負担軽減を謳い文句に、アメリカ海兵隊が実弾演習にやってくるようになった。2,3年前に砲弾とこともあろうに米兵のタバコの火で、何度も野火を起こしている。消化作業をするのは、日本の自衛隊である。滑稽な構図である。
今年もアメリカ海兵隊はやってきた。射撃訓練を一般公開するといっていた、その初日の11日早朝に、信じられない誤射をした。
155ミリりゅう弾砲という砲弾を、目標から4キロも外れてしまったのである。近隣の農家の牧草地に落ちてしまった。画像は、NHKニュースを失敬したものである。この事故は地元紙以外あまり大きく取り上げていない。
信じられないのは、目標を4キロも離れていることと、これが実弾演習の初日の出来事だというのである。こんな田舎で実弾演習する緩みか、新参者がドカンとやったに違いない。あるいはこんな技術レベルで、アメリカは戦争をやっているのだろうか? 被弾した牧草地には大きな穴が開いている。
実弾が落ちたところは、この辺りで最も交通の盛んな国道から、わずか500メートルほどの所である。住宅からも、700メートルしか離れていない。多分住宅辺りに落ちでも、過疎地であるから被害は一戸ということになるのであろう。
過疎地に、迷惑施設がやってくる理由は反対者も被害者も少ないからである。おまけに、自治体はとなると地域振興になると歓迎する。迷惑料も結構もらえる。海兵隊演習受け入れの見返り施設が、いくつかこの町にもある。沖縄の負担軽減をダシにした、ハコものである。ご多分に漏れず、利用しがってが悪く使用規定がこと細かく決められている。利用者が少ないのは当然である。
今回の事故は全国各地で起きている、アメリカ海兵隊の身勝手で横暴な出来事と同じものである。関係者は事故の解明を要求しているが、海兵隊の撤退以外に解決方法などあるはずもない。