米中会談が極めて異例のスタイルと演出で開催された。2日間の会談の内容、成果はそれほどでもない割には、会談そのものが大きな意義を持つことになる、ある種奇妙な会談であった。
日本の安倍首相が一度キャンセルされてやっと会談してくれた僅か半日、韓国の朴槿恵は厚遇されて酒宴はもちろん議会での講演もさせてもらった。同じ2代目の習近平はそれをはるかに上回るおもてなしであった。
アメリカの超高級避寒地ランチョ・ミラージュで、ノーネクタイの会談である。就任2か月後の異例の早さである。今後多分10年は君臨するであろう、世界第2位の経済大国の全ての機能を掌握する最高権力者を、決断力ある人物と評価したのであろう。
安倍はNHKに番組で、渋々「米中関係の好転はいいことである」と、建前評価をし
た。米中の接近を安倍が評価できるはずがない。内心穏やかでない。
「新しい協力モデルの構築」を、両首脳は打ち出した。かつての、米ソ対立のような関係になることはない。既に米中は、対立しても戦争できない関係にある。会談内容もさることながら、両首脳の演出したことの目的は十分達成できた。
世界第1、2位の経済大国の会談は、今後の世界地図を大きく塗り替えることになる。北朝鮮を即座に軟化させた中国の経済制裁は、アメリカを十分納得させる魅力ある存在になっている。その逆に、尖閣・南シナ海での中国海軍へのアメリカの牽制は功を奏さなったようである。アメリカの言うことを聞かない国家として、今後も中国は存在価値を持つだろう。
日本は米中接近を良い機会と捉えて、アメリカとの距離を置く良い機会であったと思われるが、安倍のとった態度は全く逆である。日本外交の基軸は日米関係だと、より一層すり寄る姿勢を鮮明にした。対米従属姿勢は、中国にはもってこいの内容と言える。そうした意味でも、今回の会談は日本にも大きな意味を持ったことになる。
左のフォトアルバムに<武佐岳から>をアップしました。