そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

代々木公園の殺虫剤散布に思う

2014-09-05 | 政治と金

デング熱が人々を惑わさせている。今日、ホームセンターに買い物に行ったら、入り口にドーンと、殺虫剤や虫よけスプレーやグッズが大量に並べられていた。これには少々驚いた。
日本の隅っこで冷涼な北海道も、マスコミ報道は流れてくる。みな怖れて蚊に刺されないようにするのである。蚊の擁護をするつもりはないが、蚊には何の罪もない。
デング熱は、代々木公園に行った者だけの発病である。保菌者を吸った蚊がいて、さらに別の人の血を吸って感染が拡大する。これは、最低でも数回は繰り返さなければ、これほどの広がりはない。蚊は短命であることを考えると、余程偶然が重なったと考えられる。

東京都は感染の拡大を見て(発病人数の多さと言った方がいいが)、公園全体に防御服に身をまとって殺虫剤を散布した。薬剤の報道は確認できなかったが、Photo 多分スミチオン製剤であろう。
これは、蚊だけを殺すわけではない。ほとんどの微小昆虫を殺すことになる。大型の昆虫もかなり死ぬであろうし、食物連鎖が断たれるので少なからず、この公園にいる生き物たちは影響を受ける。
この公園に行ったことはないが、ポツンと大都会の中の緑の島になっている。せめて緑の回廊として、どこかにつながっていればと思うが、自然界の生態系を保っているところとは言えない。そのため強く言うつもりはないが、半人工的であっても昆虫や鳥たちは、作られた生態系の中で、生命をつないでいるはずである。
一方的に昆虫を殺すことは、少なくとも今年の大型生物の命もかなりの影響を受けることになる。作られた緑の中でも、生命はつながっている。

右の写真は、知人の酪農家の乳牛が水を飲むための桶である。ボーフラがいっぱい湧いたり、藻などが繁茂して水が汚くなる。そこでこの130918_1 酪農家は、春に桶の中に金魚を入れた。
すると水は澄んでボーフラなど湧くことがなくなった。秋になって氷が張るころに集めるということであった。金魚に餌などやらない。桶の掃除もやらなくなった。(クリックして金魚を見てください)
金魚にしたのは、赤くてよく見えるからという説明であった。牛が飲み込むことなどないとのことであった。見事なビオトープと言える。生態系を巧みに利用して、人間の都合の良いように仕向けた酪農家の知恵である。

代々木公園の蚊は、間もなく一旦死滅する。秋まで公園の使用禁止すれば済むことである。昆虫を一網打尽にする殺虫剤散布は、いくら都会の人工的施設といえどいただけない。何かほかに対策はなかったかと、苛立つ都会人の知恵のなさを見た気がする。

コメント (4)
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