そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

フランスでスーパーの食品廃棄処分禁止法成立、日本こそ導入すべき

2016-02-20 | 農業と食
昨年5月フランスでスーパーマーケットの賞味期限切れ食品の廃棄が法的に禁止されたが、今月5日から実施されることになった。廃棄されるはずだった食品はフードバンク(品質に問題がない食品を生活困窮者などに配給するシステム)などの援助機関に回され、必要とする人々に配られる。これによって、毎年数百万人に無料の食事を提供できるようになるという。
延べ床面積400平方メートルを超える店舗には、売れ残り食品の受け入れを行っている慈善団体との契約を今7月までに結ぶことが義務付けられた。人の食用に適さなくなった売れ残り食品については、家畜の餌や堆肥として転用しなければならない。こうした法律は世界初となる。
イラン革命でフランスに亡命した議員が、学生時代食べ物に不自由した経験をもとに執念で成立させた法律である。

21世紀は必ず食糧問題が起きる。同様の今世紀起きるであろう、エネルギー問題や環境問題に比べて、食料問題は急激に起き待ったがない。ほかの問題に比べて、対策方法がないのである。我慢ができないし生命にかかわるものである。
上の表は世界各地の生産段階と商品化された段階での廃棄量を表したグラフである。この表はやや雑なところはあるが、きれい好きの日本はこの段階の廃棄量は多分群を抜いて高いものと推察される。先ごろ廃棄食品を、処理業者が再販売していた報道があった。実際に被害者がいたわけでもなく、気づいた人がいたわけでもない。賞味期限が、食料の本来の在り方を考慮した上で作成されたものとは思えない。
少し前までは、豚などにこうした食べ物が回ってきたものである。廃棄食品では成長が遅く肉質が消費者の好みでないことと、畜産の大型化によってそうした処理も現在はほとんどない。
スーパーなどの閉店後の風景は、直前まで並べていたきれいな食品を一気に廃棄する作業に追われるものである。何しろもったいないと思うのであるが、日本の廃棄食品は1700万トンが廃棄されており、完成品の廃棄は500~800万トンと推察されている。これは世界の食糧援助のほぼ倍の量である。
これらに対する歯止めがないかと思っていたところ、フランスの取り組みは未来を見据えたものとして、高く評価したいものである。日本こそが導入すべきである。
コメント (1)
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