日本学術会議の答申を受けて、6名を杉田和博官房副長官が外したことを受けた、菅首相がめくらばんを押したことは誰もが知っている。6名を任命しなかった理由は、杉田と菅が共有している。共有しているからこそめくらばんを押したのである。その共有する理由を明らかにすれば、ことは足りる。
ところがそれは、「安保連法を学術的見地から疑義を唱える人物であるからだ」と言えない、言うと思想的な選別をしたということになるから、口にもできない。菅義偉は仕方ないから。「総合的・俯瞰的見地」という、人を馬鹿にした意味不明の言語を羅列するしかできない。
ところが自民党は論点外しに打って出た。日本学術会議の存在に対して攻撃をするのである。6名の任命をしなかった理由を説明することなく、会の在り方に出た。税金がたった10億円も投じているというのである。学問の自由を侵すものではないが、国の意向に反する、楯突くガクシャ、世間知らずの先生は任命するのはどうーか、と言い始めた。おまけに中国に技術も垂れ流していると、がさネタまで流す始末である。このような会議に金を出しているのは日本だけだという、嘘を流布する。
日本国民は愚かである。自民党の戦略にまんまと乗せられた。ほとんどの国民は知る由もなかった学術会議なんて、不要だと相当数の人達が思い始めているのである。
論点外しは政治の場ではよく見かけるディベートである。巧みにかわす人もあれば、ボロボロになる場合もある。論点外しに打って出るのは、矛盾点があるからである。論争すると負けるからである。
政権がいま問われているのは、6名を外し任命しなかった理由である。上記のように理由はハッキリしているが、言えないだけのである。菅の取る方策は一つしかない。杉田を罷免し6名をすんなり任命することである。そうすると一番困るのは、野党である。
その後、会の組織としての在り方を討論すればよい。学術会議には海外のように民間の非営利団体にする、その上で金だけは十分出せばよい。口とは裏腹に、前例踏襲しか考えることができない、右傾化高齢者集団が選択することはないだろうが。