そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

景観でしか太陽光パネルの設置を指摘できないほど貧相な日本の環境行政

2025-03-07 | 環境保護と循環
釧路湿原を覆い尽くす太陽光パネル。釧路湿原は国立公園、ラムサール条約指定湿原である。国立公園としては2万8千haほどであり、ラムサール湿地に指定されているのは8千haほどである。
釧路湿原は水のたまり場であり壺のような存在である。周辺の山あるいは丘のようなところから、湧水が補給されて一大湿原となっている。一般の観光客の方は湿原の見えるところだけを見て感動されますが、実際には周辺も含め、もっと広く国立公園に指定しなければ、釧路湿原は守ることができないのです。
釧路湿原は実際の湿原から3割ほど削られて、国立公園になっています。釧路市に近いところでは市街化地区に突如指定したり、奥の湧水に近いところでは観光施設や農地にされたりした結果、3万5千haほどの湿原は周辺を削られて、国立公園に指定しています。
周辺の農地となっている地域では、地下水位が高く牧草も採れない状況です。ここの地域ではいくら土壌改良しても、数年すると湿原化してしまいます。本来ならば、こうした地域も国立公園の網にかけるべきだったでしょう。
この国は農業を見捨ててきましたが、その結果かつてない勢いで離農者が増えています。農作業をしなくなった高齢者は、手軽に現金化できる太陽光パネルの設置に簡単に応じます。積極的に農地の地目転化をおこなって、僻地の空き地やかつての農地は膨大な面積が黒いパネルに覆われて、小動物や野鳥は行き場を失っています。
環境保護団体は抗議していますが観光客の目につくなどと、景観上の問題を真っ先に掲げて抗議しています。それはおかしいのです。環境問題を前面に出して抗議も活動も出来ないのは、この国にそうした強力な法律がないからです。何処でもいつでも、政権は会派う業者の味方なのです。
見た目に目障りを理由にしなければ、問題を指摘できないほど貧相な環境行政こそが、この国の大きな問題です。
上下の写真は環境団体オルダーが撮ったもので、雄阿寒岳を背景に湿原一面にパネルを張る業者、下は水源地近くを掘り起こす業者です。

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