そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

国立大学から文系が消える? なんと横暴な安倍政権

2015-07-13 | 大学教育
文科省は今月8日、全国の86校の国立大学に対し、文系学部の廃止などの組織改革を進めるよう通知した。「少子化で子どもの数が減少していることへの対応が必要。日本を取り巻く社会経済状況が急激に変化する中、大学は社会が必要とする人材を育てる必要がある」というのである。国立大学に投入する税金を社会的なニーズがある分野に集中的に使いたいと説明されている。下村博文文科相は16日、東京都内で開かれた国立大学の学長を集めた会議で「これら文系学部の学問が重要ではないと考えているわけではない。現状のままでいいのかという観点から徹底的な見直しを断行してほしい」と言っては見たが、経済効率がないことを、国は認めないというのである。
経済効率を求める学業しか認めないのであろうか。国立大学に、経済的自立を促すよう方針転換してから、いつの日かこのような方針が出ないだろうと危惧していたが、それが現実になってきた。小泉も横暴であったが、それに輪をかけて安倍内閣は横暴である。
大学生の半分は4年間に、一度も本を読まないそうである。半数以上の学生が辞書・辞典を持っていないそうである。本離れが著しいが、だからこそ文学に接して欲しいものである。
宮沢賢二がいい例であるが、理系の学問を積んでいてもそれを文学表現することで、さらに自然界や人々の生き方などに深みが増すというものである。
そもそも、文系と理系の分類そのものが曖昧である。新たな物質や現象を顕微鏡下で発見したりしても、感動することは共通であろう。当地で獣医学部の学生を臨床実習として大勢受け入れたが、きっと学力はあるのであろうが、レポートを書かすとロクなものが書けない学生をたくさん見ている。国が率先して、文系の学問を軽んじるとこのような人物が排出する。
文系の発想や知識や洞察力こそが、理系の発想や指針に大きく貢献するものである。

思い起こされるのが、60年前にアメリカは冷戦対立を背景に、徹底したレッドパージを行った。共産主義者は勿論のこと、研究者や哲学者それにソビエトや中国など関連の研究者関係者をすべて、コミュニストとして追放した。世界情勢の正確な分析、民族や歴史的文化的な背景の評価能力が消失したまま、ベトナムがこけると世界が赤色化すると、ベトナム戦争などの突入していったことが思い起こされる。
国立大学から、文系(経済学、文学、歴史学、民俗学、各語学、各種芸術学等々)を追い出すことによって、国は豊かになるのだろうか。戦争法を国会に提出し、憲法を踏みにじるような行為のどさくさまぎれに、何とも卑怯な方針を国立大学に押し付けるものであることか。
直接産業に関わり経済効果を出さなければ、学問として国は認めないというのでは、豊かな国家の建設、国民の幸福感などあり得ない。

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