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ウクライナ問題による制裁で、ロシアを排除したG7は彼らの結束を強めることになった。大会後の「ウファ宣言」では、中国の意向を強く反映して戦後70年の歴史的歪曲を許さないというもので、日本を強くけん制するものであった。
これからの世界経済の発展は、BRICS国が大きく担うものであると宣言した。新たな途上国を対象にした銀行の設立も視野に入れている。議長国のプーチンは多様性こそ必要であるとし、「ウファにはユーラシア、南米、アフリカといくつかの大陸を代表する15の国の首脳が集まった。その各国に独自の発展の道があり、独自の経済成長モデル、豊かな歴史と文化がある。まさにこの多様性、伝統の結合のなかにこそ、力が、BRICSと上海協力機構のふたつの巨大なポテンシャルが隠されていることは間違いない。」と述べ、G7先進国を大きく意識した存在になった。
習近平とプーチン主導による、欧米中心の国際秩序への対抗軸としてBRICSを強く印象付けるものである。上海機構諸国を足場にして経済成長を目指すとしている。
しかし、日本での報道は極めて緩慢で、ほとんど報道されていない。先進諸国は、BRICSや上海機構諸国の存在を無視して、世界経済もパワーバランスも語ることができないことを知るべきなのである。冷戦後アメリカ主導で動いてきた世界は、大きな転機を迎えていると言える。新たな東西もしくは南北対立の基軸が見え始めている。少なくとも安倍晋三が目指す、アメリカの従属・属国化によって、日本は乗り切れるものではないのである。