そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料を放棄し疲弊地の農村を歩き番組とみていた火野正平のこころ旅

2024-12-30 | 農業と食
若いころから自転車が好きだったことに加え、旅好きの身にしてみれば、火野正平の「にっぽん縦断 こころ旅」は見逃すわけにいかない。この番組は始まった時から、ビデオ予約してすべて見ている。見逃したことはないと自認する番組である。
11月に火野正平が急死した。よく見ると今年に入ってからの火野の顔を見ると、病気であったことが推察される。
女性問題で名を馳せた火野であるが、屈託がなく親しみやすいキャラクターが視聴率を上げ、お手紙の量と質を上げてくれたことも大きい。
この番組は、視聴者からの思い出の場所を尋ねるのであるが、廃校になった学校跡が少なくない。荒れた校庭など周辺に比して、校舎が朽ちながらも毅然としたたたずまいを見せていることが少なくない。神社や寺の場合も多い。
その集落はと言えば、ほとんど例外なく過疎化が進行している。道を歩く人もなく、休耕の田んぼも目立ち閑散としている。地方の小町村の商店はシャッター街となっている。
とりわけ農村を走れば廃屋が目立つ。そして火野正平が道を尋ねると、そのほとんどが老人である。その映像を見ているだけで、へき地に住むものとしてはこの数十年の動きが、手に取るようにわかるというものである。食料を放棄し、農村を放棄し、一次産業(農業、漁業、林業、砿業)の中でもとりわけ農業を放棄した結果の姿である。
もう一つ、「ポツンと一軒家」という番組は周辺に何もない一軒家を、衛星写真で見つけて尋ねるものである。このほとんどが山間地の農家で、高齢の夫婦がのんびり暮らしていることが多い。尋ねると数十年前までは何軒もあった集落で、亡くなったか山を下りた結果残った夫婦が多い。多くの場合食べものは自給し、訪問者に新鮮な野菜などを振舞う風土はここでは残っている。
高度成長経済は2,3次産業で起きている。賃金格差は農村から人的資源を奪って都会へつぎ込んだ。日本が食料を放棄した結果である。食料生産に効率を要求し、大規模化と化学肥料や農薬に依存させ、畜産農家に多頭数化と大量の輸入穀物給与を強要させ、多くの作物の単作化を推奨し、主食のコメさえ食料の安全保障の枠を取り払ってしまった。
農村や漁村など地方が疲弊するのは当然のことである。多くの国民はこれらの番組を、懐古から支持するのであろうか、視聴率が高く見ている人が多いのは多少の救いになっている。

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