今回の6者協議を北朝鮮が守ると思っている人はほとんどいない。左の表は、「北朝鮮は6者協議の合意事項を履行すると思うか」と聞いた、韓国で行なわれた、朝鮮日報の世論調査である。一般に世論調査で、70%を越えた内容は、ほぼ全員といってよいラインだといわれている。この、北朝鮮は履行しないと思っている人が77.99%という数字は、同じ韓国民が全く、北朝鮮を信用していないということである。
とりわけ若い世代で高くなっている。北朝鮮に同胞というより貧国としての金正日体制を、あまり歴史にとらわれず、冷静に見ているのでないか。
北朝鮮は、一昨日マネーロンダリングを禁止する法案を制定した。これはアメリカのマカオ銀行の凍結を解除に対する、北の回答でもある。これはさすがに偽札作り良くないと思ったのであろう。
北朝鮮系の朝鮮新報では、日本政府は今回の協議の真意を理解していない。日本は6 者協議に中では排除された存在であると断言している。
北朝鮮政府は、堂々たる核保有国として世界に認められ、エネルギー支援を勝ち取った としている。これは、今回の合意内容が金正日体制を支援したことになり、核開発の正当性を国民に強く印象付ける結果になっていといえる。
ことの本質は、アメリカの変質にある。アメリカは日本とは無縁の価値基準で動いている。冷戦が終って、石油もなく開発したミサイルも届かない、極東の貧国に興味などない。彼らにとっての興味は、核技術の世界的な広がりである。今回の協議の最大の視点はそこにあったといえる。
日本の防衛大臣が、誰もが思っている「イラク戦争は間違いだったのでないの」発言で、お前には会わないというように、アメリカは日本が従順な下僕であると思っている。アメリカの変質などで、日本があっち向くわけないと思っている。
今回の6者協議で、もっとも利益を得たのは北朝鮮であり、もっとも存在感をなくして、不利な立場に追いやられたのは日本である。助けてくれると思っていたパトロンに裏切られたようなものである。こんな外交をやっているようでは、日本は世界の中に居場所を失くしていくだけである。