日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

奴隷という言葉

2016-02-21 09:56:49 | 私の雑感あれこれ
奴隷という言葉は知っている。
ほとんどの人が知っていて、それぞれがイメージしているでしょう。

今回、丸山議員の発言でも話題になりました。

日本語の「奴隷」という名詞はいつごろから使われ始めたのだろう。
明治期にいろんな言葉が作られているから、そのころでしょうか。
中学校ぐらいの年齢で、アメリカには奴隷制度があった、と教えられ、その後アメリカ映画などで、奴隷とされてアメリカに連れられてきた顛末や、市場で売買されるシーンなど映像としての奴隷イメージが残っている。
日本人の私のところにも、これらの情報が伝わってきているのだから、当事国であるアメリカでは、もっと多くのリアルな話もあったりして、奴隷制度の廃止、その後も尾を引いた差別の撤廃に、人命をかけて戦って今に至っている、という重たい歴史を持っているものだと思っている。
↑これは、アメリカの話。

私は、完読(前巻43冊)には至っていないけれど、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んできました。
あちこちで奴隷の存在が書かれています。ローマ市民で成り立っている町ですが、当然多くの奴隷も存在します。奴隷にも階級があって、
ギリシャ人家庭教師も奴隷、子守も奴隷です。
そう被征服国から連れてきたもの=奴隷。全ローマ市民(男)に課せられている軍役は名誉ある仕事ですが、軍人の数が不足するようになると、奴隷にも軍務に就かせ、全うしたものには市民権を与える、とか漸次変更していきます。
そう、奴隷=黒人ではないのです。被征服の敗残兵らです。
コンスタンチノーブル陥落で、東ローマ帝国はオスマントルコに負けるのですが、敗残兵はオスマントルコ側の奴隷として拘引されていきます。しおしおと続く行列の中から、時折悲鳴が上がる。それは行列の中にいる若い女をトルコ兵が自分のものにしようと列から引きはがそうとするときに起きるのです。というシーンもあります。

これは、ヨーロッパですが、そういう歴史を持っています。


私たちの国では、奴隷という存在がいたのでしょうか。
使用人、下女、下男、作男、小作、水呑み百姓といった表現には出会います。
書かれていないだけでしょうか。
市民(一般生活を営んでいる家庭)に、いわゆる欧米のような奴隷の存在があったのでしょうか。
年季奉公ということば、盆と正月明けぐらいにしか里帰りできなかった仕組みなど、貧しい階級であるからの苦難話はあっても、市場で売買で購入された人が一般家庭の働き手としているのは、違っているように思うのです。


私は、勤労は美徳という意識がある国と、労働は神から与えられた罰という考え方の国の違いだろうと思っているのです。


欧米人が、人種差別をしてきた重い歴史から、人種差別撤廃までにこぎつけたエネルギーを思うと、大切さもひとしおです。
ま、アメリカでトランプ氏支持の勢いが減じないというから、現実の人々って不思議です。







コメント
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