日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

映画2本「暴行」「羅生門」を観る。

2008-04-12 09:16:07 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
まず前日録画しておいたアメリカ映画「暴行」を観る。初めて聞く映画。
1964年製作の、白黒だし、タイトルもそっけなく、一瞬、観るかどうか、ためらったけれど、NHKのBS2で放映しているのだし、という思いもあって見続ける。
時代はなんだか、南北戦争の頃あたり。南西部の掘っ建て小屋のような駅舎で列車を待つ二人(若い牧師と善良で貧しい男)が、やってきた悪たれに、裁判で開陳された事情を語り聞かせる設定。
裁かれたのは、地主階級の軍人夫婦が馬車で通りすがったところを、札付きのワルが妻を夫の目の前で陵辱し、夫を殺したという事件。
ワルの言い分。妻の言い分。イタコ(巫女?)が語る死んだ夫の言い分(笑い)。そしてもう一人…の言い分。
それぞれが相手に伝え、自分でもそれを事実と思っているのだけれど、どれもが同じではなく、どれもが自分を正当化している。
夫の前で強姦された妻のとった行動が・・・。

映像は白黒で、勿論字幕。だけれど、見終わった後も、尾を引く映画。そこでネットで調べてみて知りました。
黒澤明の「羅生門」のリメイク版であること。
メキシコ人の札付きのワルはあのポールニューマンだったこと、などなど。

で、翌日「羅生門」を見ました(これは、かつて一度観ようとして、途中でやめたような記憶)。
「羅生門」は、ベネチア国際映画祭で大きな評価を得て、「世界のクロサワ」といわれるようになったきっかけの映画だとのことです。
昨日の今日だから、(場所は荒野の駅舎ではなく、朽ち果てかけた羅生門とか)理解もしやすいのですが、平安時代の武家の若夫婦という設定で、製作時代が古いからか、台詞がくぐもっていて聞き取りにくい。
これも字幕だったらわかりやすいのだろうか。
夫婦の身分関係も「暴行」のほうが、後発だから理解を助ける設定になっている。
よって、私にはリメイク版の方がわかりやすい。
「羅生門」を日本で発掘して、ベネチアの映画祭にかけようとした人、この映画に高い評価を与えた欧米の映画界も凄い、と思う。
勿論、黒沢明監督の感性と力量が評価されているのでしょうけれど(私は、遅ればせながらですが、ここ2年ほどで随分黒沢作品を見ました。黒沢監督は凄いと言われていることに納得もしています)、「羅生門」については、台詞のくぐもりもあってか、私が魅かれた作品、とまではいえません。

で、しつこく、映画「羅生門」の元本となった、芥川龍之介の短編「藪の中」も読んでみました。
昔の文学全集の活字ですから、細かいのですが10ページほどの作品。
こちらも、検非違使に各人が語るという設定になっています。
スッキリと、よりわかりやすい。さすが、なのですが、芥川のこの本の多くの短編の中の一つであり、他のどれもに、これに劣らずの中身が含まれているのだろうから、
本って、凄いものを内蔵していると、当たり前のことですが、そんな思いです。
多くの短編の中の一つ。








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