いつも、比較的に読みかけの本がある生活なのだけれど、このところ、当たり続き、の気分です。
「武士の家計簿」の著者、磯田道史氏の「無私の日本人」を読み終え、同著者の読みかけの「日本人の叡智」を持って白内障の手術のために入院した。
実は「日本人の叡智」は、朝日新聞土曜版に連載されていたコラムの新書化されたもので、私には、新聞コラムで読了済みだったりで、入院中は手持ち無沙汰になってしまった。
で、病院の図書コーナーで手にとった文庫本「ルネッサンスとは何であったか」((塩野七生著)を手に取って読み始めた。読みやすい。理解してもらうための図解が優しい。暗黒の中世と言われれ、教会キリスト教にがんじがらめであった社会に、どういうふうに機運が芽生え開花したいったか、切々とした語りに、納得しながら読み進めることが出来ました。で、退院して、勿論借りた本は返してきましたので、その日のうちに、ネットで同じ本を購入(苦笑)。フィレンツェの街、ベネツィアの街が目に浮かぶようでした。
15世紀末のローマ法王ボルジア一族のテレビドラマも視聴しているので、宗教が政治を取り仕切っていた時代が映像で浮かんできやすいのです。
宗教改革、反宗教改革と勢力争いのすざまじさに、いわゆるルネッサンス以降も大変な時代が続いたのだと、私のヨーロッパ理解の上書き、です。
で、マホメット2世の名前も出てきたことから、たまたま自宅にあった塩野七生著「コンスタンティノーブルの陥落」を読みたくなりました。
一方、川口マーン恵美氏の「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」もデジタル版で購入してあったので読了。川口氏はドイツ在住。以前「住んでみたドイツ 8勝敗で日本の勝ち」ほか数冊読んでいますが、30年あまり暮らしてきて受け止めた情報には説得力がある、と思ってしまいます。よって、この本もサクサクと読めます。そして、日本人がイメージしているヨーロッパのイメージを遥か逸脱している実態を知ったりもします。大航海時代の経緯などは、へぇ~、の箇所もあります。
そして、彼女の本で紹介されていた、松原久子氏の「驕れる白人と闘うための日本近代史」へと読みすすめました。松原氏は1958年に日本の大学を卒業後、海外留学、1970年にドイツで日欧比較文化史で博士号をとったとあります。この本は、鎖国時代の江戸期についての記述も多くあり、私たちが高校時代に教えられた教科書の日本史がいかに表層的であったか、いや敢えて「知る必要がない」とされていたのでは、と思える程でした。
江戸期の日本人を書いた前出「無私の日本人」を読んで間もないものですから、総論と各論の差を感じずにはいられませんが、「両書とも」に出会えたことは、私としては大当たりでした。
彼女の他の著作として「日本の知恵 ヨーロッパの知恵」があり(購入済み)、家人の読了をまって、読もうと思っています。
「驕れる白人と…」は、今朝、病院の眼科の待合室で終章を読了。終盤に、日本で体験したエピソードが盛り込まれていたりしますが、松原氏が、前述の磯田氏の「無私の日本人」の仙台藩吉岡宿の窮乏を救おうと立ち上がった有志の話を読んだら、どう思われるだろう、と思いめぐらしたりしました。
8人の有志(資金力がある者ら。士農工商の身分では農民)が内々で、窮乏する村を救うために手立てを考え、藩の役人との交渉にまで持っていったという話です。
そして、念書を交わします「自分たちがしたことが、例えうまくいって、村が救われるということになっても、それをしたのが自分たちだとは、絶対に口外しないこと」と。
古文書をつぶさに当たって書かれている話です。実際の記録が残されている、私たちの国の江戸期の良心に、胸がぐっときました。
※ 追加
書きそびれました。「驕れる白人と闘うための日本近代史」はドイツ語で書かれており、出版されたとき、ドイツで話題になったそうです。松原さんは有識者としてドイツのテレビ番組にも出ていらっしゃる方、だそうです。その本の日本語訳(訳はご本人ではありません)が文庫で出版されたものです。結構年数が経っているのに、まだ第1版でした。日本を理解してもらおうとして書かれた本ですが、日本人である私にとっても、江戸幕末期の日本の文化、生活レベルを知ることができて、勉強になりました。
開国当時の金銀の交換比率が、国際基準と違うことにより起きたという、ゴールドラッシュの話なんて、初耳。後進の国への福祉的配慮はさらさらなく(植民地からいかに吸い上げるか、の時代です)、自前のお金で西洋文化の習得に腐心しているのが判ります。アヘン戦争で西洋列強に食い荒らされた様を熟知している幕府は、日本が二の舞になってはならぬと必死だったのです。今の時代の困苦をはるか上回る切迫感だったのでしょう。
現在の私たちは、西洋人が啓蒙思想の産着をきて生まれてきたかのような錯覚をしがちですが、全然すざまじい歴史を抱えているのですよ、かの国々は。そんな中にあって、松原さんの奮闘ぶり、ご苦労さま、とおもいます。
「武士の家計簿」の著者、磯田道史氏の「無私の日本人」を読み終え、同著者の読みかけの「日本人の叡智」を持って白内障の手術のために入院した。
実は「日本人の叡智」は、朝日新聞土曜版に連載されていたコラムの新書化されたもので、私には、新聞コラムで読了済みだったりで、入院中は手持ち無沙汰になってしまった。
で、病院の図書コーナーで手にとった文庫本「ルネッサンスとは何であったか」((塩野七生著)を手に取って読み始めた。読みやすい。理解してもらうための図解が優しい。暗黒の中世と言われれ、教会キリスト教にがんじがらめであった社会に、どういうふうに機運が芽生え開花したいったか、切々とした語りに、納得しながら読み進めることが出来ました。で、退院して、勿論借りた本は返してきましたので、その日のうちに、ネットで同じ本を購入(苦笑)。フィレンツェの街、ベネツィアの街が目に浮かぶようでした。
15世紀末のローマ法王ボルジア一族のテレビドラマも視聴しているので、宗教が政治を取り仕切っていた時代が映像で浮かんできやすいのです。
宗教改革、反宗教改革と勢力争いのすざまじさに、いわゆるルネッサンス以降も大変な時代が続いたのだと、私のヨーロッパ理解の上書き、です。
で、マホメット2世の名前も出てきたことから、たまたま自宅にあった塩野七生著「コンスタンティノーブルの陥落」を読みたくなりました。
一方、川口マーン恵美氏の「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」もデジタル版で購入してあったので読了。川口氏はドイツ在住。以前「住んでみたドイツ 8勝敗で日本の勝ち」ほか数冊読んでいますが、30年あまり暮らしてきて受け止めた情報には説得力がある、と思ってしまいます。よって、この本もサクサクと読めます。そして、日本人がイメージしているヨーロッパのイメージを遥か逸脱している実態を知ったりもします。大航海時代の経緯などは、へぇ~、の箇所もあります。
そして、彼女の本で紹介されていた、松原久子氏の「驕れる白人と闘うための日本近代史」へと読みすすめました。松原氏は1958年に日本の大学を卒業後、海外留学、1970年にドイツで日欧比較文化史で博士号をとったとあります。この本は、鎖国時代の江戸期についての記述も多くあり、私たちが高校時代に教えられた教科書の日本史がいかに表層的であったか、いや敢えて「知る必要がない」とされていたのでは、と思える程でした。
江戸期の日本人を書いた前出「無私の日本人」を読んで間もないものですから、総論と各論の差を感じずにはいられませんが、「両書とも」に出会えたことは、私としては大当たりでした。
彼女の他の著作として「日本の知恵 ヨーロッパの知恵」があり(購入済み)、家人の読了をまって、読もうと思っています。
「驕れる白人と…」は、今朝、病院の眼科の待合室で終章を読了。終盤に、日本で体験したエピソードが盛り込まれていたりしますが、松原氏が、前述の磯田氏の「無私の日本人」の仙台藩吉岡宿の窮乏を救おうと立ち上がった有志の話を読んだら、どう思われるだろう、と思いめぐらしたりしました。
8人の有志(資金力がある者ら。士農工商の身分では農民)が内々で、窮乏する村を救うために手立てを考え、藩の役人との交渉にまで持っていったという話です。
そして、念書を交わします「自分たちがしたことが、例えうまくいって、村が救われるということになっても、それをしたのが自分たちだとは、絶対に口外しないこと」と。
古文書をつぶさに当たって書かれている話です。実際の記録が残されている、私たちの国の江戸期の良心に、胸がぐっときました。
※ 追加
書きそびれました。「驕れる白人と闘うための日本近代史」はドイツ語で書かれており、出版されたとき、ドイツで話題になったそうです。松原さんは有識者としてドイツのテレビ番組にも出ていらっしゃる方、だそうです。その本の日本語訳(訳はご本人ではありません)が文庫で出版されたものです。結構年数が経っているのに、まだ第1版でした。日本を理解してもらおうとして書かれた本ですが、日本人である私にとっても、江戸幕末期の日本の文化、生活レベルを知ることができて、勉強になりました。
開国当時の金銀の交換比率が、国際基準と違うことにより起きたという、ゴールドラッシュの話なんて、初耳。後進の国への福祉的配慮はさらさらなく(植民地からいかに吸い上げるか、の時代です)、自前のお金で西洋文化の習得に腐心しているのが判ります。アヘン戦争で西洋列強に食い荒らされた様を熟知している幕府は、日本が二の舞になってはならぬと必死だったのです。今の時代の困苦をはるか上回る切迫感だったのでしょう。
現在の私たちは、西洋人が啓蒙思想の産着をきて生まれてきたかのような錯覚をしがちですが、全然すざまじい歴史を抱えているのですよ、かの国々は。そんな中にあって、松原さんの奮闘ぶり、ご苦労さま、とおもいます。
手元にある本も中々手が出ません。
今読んでいる「日本の知恵 ヨーロッパの知恵」は1980年代にドイツで出版され話題になったらしいです。文化の違いを日々感じる立場で生活なさっているverdavojetoさんにはお薦めなんだけどね~。残念です。