一緒の家に住んでいるせいなのか、それともやっぱり13年前の出来事がどこかに残っているのか・・だんだんとソラに親しみを感じていくようになるウジン。
しかしそうなる気持ちも分かる。13年前はヴァイオリン一筋の生活で、どこか幼い雰囲気を持っていた彼女。30歳になった今でもその当時のままなのだから、一緒にいるとどこか守りたくなる気持ちを自然に抱いてしまうのだろう。
その証拠にウジンだけでなく、ウジンの甥も甥たちの同級生もすっかり彼女の事を見守るモードに入っているのだから。(本気の小悪魔でなく、ソフトな小悪魔モードだ・・・)
自分を受け入れてくれた彼らを100%信じ、さらにはヴァイオリンの修理費を稼ぐために、たまねぎの皮むきだの、洗濯された靴下の整頓だの(!)熟練と経験が必要ない内職のようなバイトに精を出す彼女を兄のように見守るウジン。
「優しいいい人なのに、わざとそれを隠そうとしているんじゃないですか?」
なにも知らないソラは無防備にそんな言葉を発して彼を混乱させるが、そんな穏やかな日常も、ソラが何気なく月を見上げる姿を見てしまったことであっさり崩れ去るのだ。
13年前、一目ぼれした彼女が見せた仕草と同じようにするソラの姿は、当時の事故を思い出させて彼を更に混乱させる。
「意識的に彼女を避けるのでなく、自然に遠ざける方がいい」との医師のアドバイスに従い、非常にわざとらしく彼女を避けるようになるウジン。
13年前のあの少女がソラなのだから、同じ仕草をして当然なのだが、勘違いしているウジンはそんなことに気づきもしない。
しかし、音楽関係の仕事を請け負うことになったウジンの事務所にとってソラはピッタリの人材だ。
避けようとしていた彼女は自分の勤務先でバイトをするようになり、歓迎会で人生で初めてのお酒を飲んだソラはうっかり13年前の自分の部屋でウジンと一緒に寝てしまうという失敗をするが、そんな時でも平常心を装いソラを避けようとするウジン・・・・
ウジンの部屋には、彼が描いた13年前のソラの絵が残されているのだが、それに二人が気づくのは一体いつになるのか・・・