インド映画だが、お決まりのダンスシーンは殆どない。しかしストーリーを補完する歌は充実だ。
「これからは君の電気代も僕のもの。」なんて歌い上げるのは、並大抵の愛情じゃない。そして妻を荷台に乗せての二人乗りが快適に出来るようにと工具を巧みに使って素敵な荷台を作り上げる。
主人公の幸せな新婚時代を描くオープニングの歌を見ただけで、彼が手先が器用な妻を愛する優しい男だという事が分かる。
妻の体調を心配するあまり、お手製パッド作りに勤しむも、自分が生きる世界の常識から外れる行動は、仲間から後ろ指を指されることだ。それが怖い妻はどうしても夫の行動が理解出来ない。しかし、夫にとっては妻が健康であるからこそコミュニティの中で笑って暮らせると考えているのだ。どちらも幸せに暮らすことだけを考えているのに、方法が違うことで悩む二人。
家を出て、一人廉価なパッドづくりに注力する男の前に出現するのは、インドの中でも革新的な家庭で朗らかの育った高学歴の女性。彼の作ったパッドを評価し、彼の努力と製品が日の目を見るようにと、パートナーとしてインド中を渡り歩く。
そして自分のビジネスモデルをシンプルに、簡易な英語で語り、さらにビジネスパートナーの女性へ感謝の気持ちを述べる彼。
実家に戻った妻は、夫の成功を知っても、その成功の内容が恥ずかしいと拒むのだ。そんな姿を見ていると、ビジネスパートナーである彼女と第二の人生を歩んだ方がいいのではと思ってしまうのは、私が独身だからなのか、それとも自分の属するコミュニティーの常識から抜け出せぬことが出来ない妻に対してちょっとだけもどかしく感じてしまったからなのか・・・
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始まる前に「脚色しています。」と完全実話でないことをかなり強調していたのは、色々気遣いが必要な内容だということの現れなんだろうと理解。