私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男

2019-08-05 20:57:34 | 映画鑑賞

韓国で軍人だった男は、1992年、北の核開発の真偽を確認するためにブラック・ヴィーナスというコード名の元、工作員として潜入捜査する命を受ける。
 退役後、中国で商売を始めた男は、長い時間をかけ、北で経済委員会の所長職についているという男からコンタクトを受けるまでになる。
自らを所長と呼べというその男のミッションは、外部との取引で外貨を得ることだ。

飴と鞭を使い分け、ブラック・ヴィーナスが信じるに足る男なのかを試す所長。スパイとして硬軟取り混ぜつつなんとかして彼の信頼を得ようとするブラック・ヴィーナス。

少しずつブラック・ヴィーナスに心を開く姿を見せる所長の行動を牽制するのは、若いながらもやり手らしい国家安全部の課長だ。
北で韓国のCM撮影をすることを隠れ蓑にして、核施設付近にまで近寄ることを試みるブラック・ヴィーナスと、彼を仲介役にして陶磁器などの美術品を換金したい所長。
二人の思惑が重なり、将軍に接見するまでになるのだが、1997年の大統領選挙の行方が二人の前に立ちはだかる。

北との融和政策を目指す候補が当選すれば、当然北との関係性は今までと変わってくる。
政治家にとっては、選挙の結果は自分の生命線だ。
更には北を敵とみなし、各種工作活動に従事していた韓国の国家安全企画部の存在意義が問われるということだ。
敵がいてこその潜入捜査だ。選挙の結果次第では、ブラック・ヴィーナスが行っていた工作も彼の存在も祖国にとっては都合の悪いものになる。
今までの潜入捜査を無にするような行動をとってくるブラック・ヴィーナスの上司。

演じる俳優たちの緊張感が見ている側にも伝わってくるが、ストーリーが実話を元にしたフィクションだと聞けば、納得するしかない。

潜入捜査の緊張感とともに男同士の友情にも涙する。

******

この時期、この映画を見ることは、ある意味タイムリーだなと思う。

政権が変わることにより国の安全保障に関する考え方が全く変わるという事を、敵がいると信じ込ませ権力を牛耳る力を持つことが出来るという事を、映画とはいえ、こんな風に見せられると驚き以外の何物でもない。

 *****

 『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』