1964年の香港・・・妻亡き後、一人で息子を育てるイップ・マン。沢山の弟子を抱え、彼らに慕われる彼だが、高校生の一人息子との意思疎通は思ったように上手くいかず空回りだ。息子の未来を考えアメリカへ留学させるべく、下見のため一人サンフランシスコに向かうイップ・マン。
中華街の中華総会に向かうも、イップ・マンは歓迎されない。移住した中国人たちは自分達がアメリカで差別を受けることもあり、自分達の文化を守ろうとし、外国人に武術を教える小龍を異端とみなし、更にその師であるイップ・マンの事も認めようとしない。円卓をはさんでのにらみ合いの後は、ガラスの円卓が粉々に割れて交渉決裂だ・・・武術の師同士故、話し合いにも厳しいものあり・・・
しかしそんなイップ・マン、すでに空手を実践訓練に取り入れている海兵隊に中国武術を取り入れようとする中華系アメリカ人の青年の思いがきっかけとなった「実戦空手VSカンフー」という戦いの中に、期せずして巻き込まれることになるのだ。
「実戦空手VSカンフー」の争いは、その裏に隠された人種差別が色濃く反映される。海兵隊に運び込まれた木人樁は、アメリカ人の空手指導課たちの手て燃やされるのだ。そして静かな達人イップ・マンも、その戦いに本気で参戦せざるを得なくなる。
映画の中で描かれる人種差別の様子は、今ニュース番組で見るその内容となんら違いがないように思われる。60年近い年月が経っても、同じような苦しみや戦いが繰り返されているのだ・・・
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自分の病を知ったイップ・マンだが、心の揺らぎは見せず実践空手に往年の連打で挑む。イップ・マンの繰り出す技の数々と連打は、タイトルの完結という言葉にふさわしく、力強くはあっても落ち着いたもの。しかし、詠春拳に乱れはないが、自分の思いはなかなか息子に通じず悩むことになるのだ。
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上映前、「イップ・マン 継承」のスピンオフ作品の「イップ・マン外伝 マスターZ」と、イップ・マンをアンソニー・ウォンが演じた全くの別バージョンの「イップ・マン 最終章」の予告編が流れる。シネマシティの極上爆音上映だけでもテンションが上がるのに、更に嬉しいプレゼントだった。