BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

アクセル・ワールド 第12巻 ―赤の紋章―  感想

2012-08-19 18:22:15 | SAO/AW

ということで、AWの12巻について。
幾つかネタバレになることに触れると思うので、この点、予めご了解いただきたく。
(ちょっとスペースあり)



















































正直なところ、ちょっと期待外れの展開。
もう少し、直線的に物語が進むのかと思っていたのだけど、
想像以上に、寄り道が多くて。
これは、災禍の鎧編で経験済みなのだけど、
それにしてもね、ちょっとね。

チョコ話のところは、いろいろな意味で、ご都合主義的で苦笑w
それから、最後のバトルロイヤルモードの部分も。
黒雪姫が何か言いかけたところでモード変換、しかも、ハルユキのうっかりで、というのは・・・。
もうちょっとだけ、真面目に展開を考えようよ。

いい加減、本筋の話が進まないのには、イライラする。
ちょっと、禁書目録的なズルズル感が漂ってきたのは、嫌な予感がしてならない

その嫌な予感の原因は、割りと今回、頻繁に行われた伏線回収的な動きにもあって。
結構、先が見えてしまったような気もする。

黒雪姫の仇敵となるのが、実の姉のホワイト・コスモス、とか。
赤の王の惨殺は、黒雪姫がホワイト・コスモスに操作されたから、とか。
ISSキットに「赤の紋章」があることから、どうも加速研究会は赤の王絡み、とか。
あるいは、加速研究会の末端の動きは、マゼンダ・シザーのように、加速世界の不平等をなくすため、という、どうにも唐突的な感じがする動機とか。

ちょっと、設定をいじるのに、悪乗りしてきてないか、という感じ。

それにしても、ホワイト・コスモスが黒雪姫の実姉というのは・・・
あまりに予想通りで、もう少しひねりが欲しかったなー。

家族との確執、って必然的に、ねちっこいものになるので。
能美のスクールカーストのところがもの凄く不快だっただけに、心配。
特に、この作者は、そういうところ、思い切りベタに書いてくる人なので。
変なメロドラマになると嫌だなーと。

で、確かに黒雪姫からするとハルユキに実姉には絡んでほしくないよね。
自分ですら操られたのだから、バカ正直者のハルは危なっかしい。
実際、師匠にもコロっと行ってるのだからw
篭絡されたハルならw、ホワイト・コスモスの擁護に向かうだろうし。
で、実は、それなりに、裏があって、ホワイト・コスモスもやむなくそうさせたとか。

ホワイトはもちろん、白か黒か、という、ブラックと対になる存在だけど、
同時に、紅白饅頭ではないけれど、白は赤とも並び立つ。
となると、実は、ホワイト・コスモスとレッド・ライダーは最初から盟友として握っていて、
協力して加速研究会を立ち上げている、ってこともあると思うのだよね。

バックドアプログラムやISSキットまで開発している加速研究会は、いわば、ブレインバーストの世界、つまりプログラムのハッキングをしているわけだから、既に、ニューロリンカー経由で外部サーバーに記憶が転送されている事実とか(ってまだこのことは本編で明らかになってないけど、SAOと合わせて読むと多分そういうことだと思う)、独自に突き止めていると思うのだよね。

このあたりの事情は、オリジネーターである青や緑の王も多分わかっている。

で、今回明かされたレッド・ライダーのチートな兵器開発アビリティを使えば、ブレインバーストの世界をハックするようなツールの開発も可能だろう。というか、そういうことをするのに最も適した人物がレッド・ライダーなはず。となると、彼は公衆の面前で殺害されることで、大手を振ってブレインバーストの表舞台から姿を消し、つまり、身を潜め、加速研究会の作業に没頭することができた、とかね。

その加速研究会がやっていることは、ブレインバーストの世界を作った造物主たるプログラマたちの意図(まだ不明だけど)をねじ曲げて、文字通り、ブレインバーストの世界のルールを書き換えよう、としているのかもしれない。もちろん、そうした創設の意図と、末端の構成員wの意図は一致しないのが常だから、今回のマゼンダ・シザーのような、都合のいい、不平等からの解放なんてことを言い出す奴がでてきてもおかしくはない。要するに、マゼンダ・シザーのいうことを加速研究会の意図と誤解してはいけない、ということで。

そもそも、レベル9で互いにどん詰りの均衡状態になった七王の中になら、そのどん詰りの均衡状態に変動をもたらせて、加速世界のルールを変えることを考える奴が出てきてもおかしくない。

それに、ニコに見られるように、七王といっても、王になった時期に大きな差があるわけだし。
どう考えても、黒の王が誕生する前に、白の王がいたはずだし。
そういう意味では、白の王も、オリジネーターの一人であってもおかしくない。

仮にオリジネーターを、白、赤、緑、青、とすれば、
白と赤が組んで、他の王を出しぬいた。
緑と青は何となくそのことに気づいていて、だから、緑は、単身、加速研究会に乗り込もうとしていた、というと筋が通るかな。
青が妙に、気前がいいのも、様子見ということなのだろうし。

(緑と青が王の中でも別格なのは、ニコが再三再四、強調してる。)

そういう意味では、黄、紫、黒、新赤、は蚊帳の外ということで。

で、白の策略からすれば、黒による赤の殺害によって、赤と恋仲?だった紫が逆上して、黒をお尋ね者扱いに出来れば、非常に好都合。

ブラック・ロータスの排斥に加速世界の関心が向かって、当分の間、加速研究会の立ち上げに専念することができただろうし。

また、黒を操ったという理由があれば、ホワイト・コスモスが、公の席には代理人の出席をたて、自らは表舞台から消えることもできる。もしかしたら、白自体が、ISSキットとかのシステムの管理人になっているのかもしれないし。

・・・という具合に、何となく、一定の先は見えてしまう。

で、このままのシナリオだと、多分、黒雪姫は単なる道化の役でしかない。

姉との確執も、実は、姉がレッド・ライダーと組んで、加速世界の救済、ルールの書き換えに向かっている、ということになれば、共通の敵は実は加速世界を作ったグランドマスターだった・・・ということになる。で、その姉とレッド・ライダーの真意がわかったところで、共に本当の敵を倒す、という展開。

とはいえ、一人暮らしまでして鬱鬱とした数年を暮らした黒雪姫からすれば、姉の真意を知ったところで、容易には、そのわだかまりは消えない。

そのわだかまりを吹き払うのがハルユキの役割で、なぜなら、

ホワイト・コスモスのやってることは、「レベル9の先にある加速世界の真実を究める」ことで、その目的は、黒雪姫自身が行った目的を違わないじゃないか!、

とか言って、説得して、黒と白の和解を図る・・・、というような展開になるのだろうな。

で、その共通の敵、加速世界のグランドマスターは、SAO世界で加速世界の雛形を作っていた○×だった。。。。とかね。

・・・ということで、何か、いろいろと12巻の内容で、物語的には詰んでしまった気がする。

もちろん、このあと、アクア・カレントが四元素として黒雪姫のもとに戻るとか、ミッドタウンの攻略が進む、とか、細かい動きはあるのだろうけど。

けれども物語の大きな方向は、ホワイト・コスモスとレッド・ライダーの亡霊のような、物語への登場によって、決まってしまったように思える。

なので、後は、どれくらい、そうした結論を引き伸ばしてくるか。

一応、次の13巻で11巻からの話しには決着が着くらしいけど。
しかし、既に、災禍の鎧編という前科があるからなぁ。。。w
あと、出版も随分間が開くみたいだし。

ともあれ、13巻でのアクア・カレントの活躍に期待。
もちろん、ハルや黒雪姫との再会も含めて。
きっと、またベタベタの感涙シーンを、あの作者なら用意してくるのだろうけどw

それにしても、「オシラトリ・ユニヴァース」と「ネガ・ネビュラス」
ユニヴァース=宇宙、に、ネビュラ=星雲、だもんね。
オシラトリ=白鳥に、ポジネガ(明暗)のネガ、だもんね。
(いや、オシラトリ・ユニヴァースはまんまなら「振動宇宙」だけど、絶対「白」をかけてるよね。)
ホワイトホールとブラックホールのようでもあるし。
実は、とても似たものどうしの姉妹なんだと思うな、黒雪姫と彼女の姉はw

まぁ、だからこそ、黒雪姫は実姉にハルユキを会わせたくないのだろうな。
自分の鏡像を見るようなものだから。


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アクセル・ワールド 第19話 『Revolution;変遷』

2012-08-19 16:19:28 | SAO/AW
前回も感じだけど、やっぱりアニメにすると、
ハルユキよりも黒雪姫を主人公に立てた方が面白いし、華がある。

ホント、単行本を読んでる時には気にならないのだけど、映像にするとハルの容姿はやっぱりちょっと異常。単純にデブでチビというのではなく、なんというか、遠近法的に縮尺がおかしくて。素直に、あのブタ・アバターぐらいの頭身にとどめておけばよかったのに。あるいは、ハルユキぐらい縮尺がおかしいキャラがもう一人いるとか。それなら、違和感ないのだけど。

ということで、アニメ版は、黒雪姫が前に立つ回の時のほうが圧倒的に面白い。
彼女のほうが、ハルと違って、ケレン味のあるセリフを吐いてくれるので(まぁ、ちょっと恥ずかしいのが実際だがw)、物語的に引き込まれる。

今回の沖縄編もそういう感じで。

しかし、アクアカレントの回を含めて、単行本10巻のエピソードはよくできているなと感心する。

このアニメ版は、このままで行くと、多分原作4巻で終わりになると思う。

で、このあまりに綺麗な収まりの良さを考えると、10巻の内容は、アニメ化が決まって、2クールが決まったところで用意したのかな、とか思ってしまうほど。それくらい、ぴったりを収まっている。

そのピッタリ感は、単に2クールに収まるから、というだけでなく、今回の沖縄編の話を含めて、要は、5巻以降の話の中心(それは最新刊の12巻でも変わらないけど)になる「加速研究会」の狙いを仄めかす点でも大事だった、ということで。

多分、ダスクテイカーの話だけでは、加速研究会の存在は明確にはならない。それを、この沖縄編での、モンスターのテイムという出来事で示唆してるわけで。これはうまい。

ついでに言えば、恵のバーストリンカーとしての乱入も、その理由は明確ではないものの、一度全損してブレインバーストのことを忘れた人たちでも、それを復活させられることが示唆されるわけで。
で、これは、前にエントリーで触れたことがあったけど、これは多分、ニューロリンカーを使ったアクセル・ワールド体験のセーブの外部記憶化という話とも絡むのだろうし。そういう意味でも上手い。

そもそも、原作でもそのあたりはまだ謎のままなわけだから、気になる人は原作を引き続き読んでね、ということになるw

そういう意味ではハルユキとSAOのキリトの時空を越えたバトルを描いた、10巻の三番目の短編が、果たしてアニメでも扱われるのかどうかは、気になる所。

SAOの方の最新刊の方で、実は、ニューロリンカーの開発秘話のようなことが記されているので、完全にAWはSAOの後日談のような話となっているので。多分、ニューロリンカーを通じた外部記憶化の話も、その原理についてはSAOの方で扱われるように思えるので。

ということで、単行本10巻、恐るべし、と思わずにはいられない17話だった。

いやー、黒雪姫を主人公にして、ハルを文字通りの従者ポジションにしたら、どれだけ、このアニメは面白くなっていたか、と改めて思わざるを得なかった。

かつての同胞だったアクア・カレントはいうまでもなく、クリキンら沖縄の三人も、ゆくゆくや黒の王の下に参集するんだろうな・・・、なんて思い始めている。

でないと、黒の王のチームは、いくらなんでも人数が少なすぎ。ワンピなみにチームメンバーを増やす話もそろそろ付け加えないとね。

・・・ってこのあたりのことは、単行本12巻の感想のほうでw

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