BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

東京レイヴンズ 第15巻 感想

2017-11-28 19:01:47 | レイヴンズ
こちらも久方ぶりの「東レ」15巻。
あまりに14巻から日が開いたので、大分中身は忘れているけど、それでも14巻がものすごく熱かったのは覚えているし、最後に、夏目と飛車丸の魂が確か同じだった・・・ってところまでは覚えていたのだけど。

さて、その後はどうなったのか。。。

ということで、とりあえず、スペース、空けときます。










































今回は、予告通り、過去編。夜光編。

いわゆる「ゼロの物語」。

それでとにかく、ほとんど2年ぶりの15巻だったのだが、
率直にいって、面白かったけど、期待ハズレだった、ってのが正直なところ。

その理由は単純で、

「あれ、今回で過去編、終わらないの?」

と思ったので。
最後まで読んで、ようやく日米開戦って、どういうこと?って普通、思うよね。

今回が、過去編だというのは、前巻の終わりで示されていたので、それは全然問題なかったし、夜光や飛車丸、あるいは角行鬼の活躍が見れたのはもちろんよかったけど、

でも、それって、夏目と飛車丸の魂が同じであることの秘密に迫るためのものだよね?
なんで、今回、そのことに、片鱗すら触れてないの?
しかも、まだ過去編が続くってどういうこと?
と思ったわけです。

だってさ、さすがに2年も待って、これはないでしょ。
この15巻が、14巻の出版から半年後くらいに出ていて、それで「続く」というのなら、まぁ、わからないこともないけど、2年待って、これはマジでないわー。
作者、無能すぎるでしょ。

あとがきで、専業作家をやめる寸前、とか書いてあったけど、
これなら、マジでもう、一度、辞めた方がいいと思うよ。
簡単にいえば、読者に対する「裏切り」だよね、これは。

14巻が、そもそも待ちに待ったクライマックスだったはずなのに、それで中途半端にお預けをくらい、しかも、それで2年も待たされた挙句、前巻で積み残した謎に何も触れてないんだから。。。

がっかりだよ。

正直なところ、この作者の文章は、他のラノベ作家と比べると遥かに上手。
個々人の心情や動作の描写、あるいは、場面の入れ替わりや、緩急の使いわけは、ホントに上手だと思うので、今回の15巻にしても、読み始めれば、確かに引き込まれてしまうので、その点では、掛け値なしに、面白い。

そう断った上で、それでも、今回の話は、本来「閑話休題」という、幕間の話であったはずなのだから、それをガチで複数冊に分けて描いていく、というのは、構成上、下手すぎるでしょ。

少なくとも、夏目と飛車丸のつながりについて、何らかの形でほのめかすような話がないのは、いくらなんでもひどい。

単純に、待った甲斐がないないじゃないか!って憤りたくなる。


それともう一つ、この「ゼロの物語」、「始まりの物語」がそれなりの重さをもつこと自体、春虎や夏目たちの、本来の「本編」の話にとってもあまりいいことはないんじゃないか、と思えてくるから。

だってさ、春虎は夜光の生まれ変わり、転生した存在、ってことになるわけじゃない。
で、その設定のもとで、夜光のことを書けば書くほど、春虎が単なる(本編の)「現代」における夜光の形代、というか、「乗り物」みたいに見えてくるじゃない。

つまり、春虎、という個人はどこにあるのか?という疑問が湧いてきてしまう。

だって、あるタイミングで、夜光というご先祖様に、体だけでなく意識まで乗っ取られてしまったようなものなわけでしょ。

で、そんな春虎に対して、オリジナル夜光の「思い残し」をリアルに描いてしまったら、春虎の意志はどこにあるのか、ということになってしまう。

あくまでも、本編の方で、春虎が抱えているのは、夜光の記憶と春虎という人格のせめぎあいだったはずなのに、このままだと、夜光の人格が前面に出てきてもおかしくない、ということになる。

つまり、前世の記憶、なんて都合の良い「記憶の思い出し」だけですまなくなるじゃない。

要するに、過去編を書けば書くほど、春虎の存在が曖昧になってしまう。

実は、この疑問は、第二部になってからずっと感じていたことで、それは今回の内容で、というか、夜光の「超人ぶり」をみて、より一層強くなった。

はたして、本編で活躍している春虎は、第1部の春虎なのか?という心配。
いっそのこと、もう夜光って名乗ったほうがいいんじゃない?ってこと。

ともあれ、この「夜光の過去の活躍をイキイキを描けば描くほど、春虎の影が薄くなっていく問題」は、本編のカタルシスを確保する上では、無視できない問題になっていくと思う。


でさらに、この「夜光の書き込み」問題に付随して生じるのが、飛車丸と角行鬼がやっぱり早々に退場=死去するのではないか、という疑問。

これは、14巻の最後の場面で、角行鬼が割りと真剣に青息吐息になってしまっていることとも関わるのだけど、今回の15巻で最もヴィヴィッドに描かれたことといえば、飛車丸がどれだけ夜光を慕っていたのか?ということと、実のところ、夜光と飛車丸は両想いだったのでは?という印象。とにかく、これに尽きるでしょ、15巻の中身は。

で、だとすると、夜光が死去した時点で、飛車丸も添い遂げるというのが、本来の姿ってことになるし、それでいいよね、もう飛車丸の描写については思い残すことはないよね、って感じで今回の夜光と飛車丸の深い描写があったように思うのだよね。

これも前に何回か書いたことだけど、東レの最後では、春虎の両脇に、夏目と冬児が式神として並び立つのではないかなと思っている。つまり、春虎―夜光、夏目―飛車丸、冬児―角行鬼、という感じね。もともとこれは、冬児が鬼に憑かれたってところで、角行鬼の対だな、と思ったところから始まっているんだけど、それが14巻の最後で、夏目と飛車丸が、実は同じ魂を持っている、という事実が発覚して、より強くそう思うようになった。

となると、春虎は完全に夜光なのか?問題とあわせて、仮に、春虎は春虎の人格のままで、単に薄ぼんやりと夜光の記憶が思い出されるだけ、もっとぶっちゃければ、都合よく陰陽師としての技能の部分だけ、夜光の技能が再生されているだけなら、転生先である春虎の手によって、夜光の心残りであった「やり残し」に決着がつけば、夜光は消えていく、ということになりそうだから。まぁ、その場合は、夜光が春虎に転生した、というよりも、夜光の霊が春虎に憑依したという方が適切な気はするけれど。

ともあれ、夜光が消滅すれば、飛車丸や角行鬼も消滅してもおかしくはない、つまり、遠からず、飛車丸は消えてしまう。。。。

いや、単純に、物語の最後まで飛車丸には、生き残っていてほしいとは思っているのだけれど、どうも、今回の過去編の、過剰な飛車丸押しの描写を見ると、ああ、飛車丸さん、遠からずご退場なさるんですねぇ。。。と思ってしまう。

要は、それが嫌だなー、と思っているわけで。

それも含めて、過度に過去編を書き込んでほしくないなぁ、と思っていた。


しかし、それにしても、どういう経緯で、夏目と飛車丸は、魂を同じくしているのだろう?

てっきり、今回の、ラスボス大蓮寺!wの、神降ろしとか、魂寄せとかの、副作用で、飛車丸の魂(の一部)が引き剥がされるなりして、それが後の夏目に何らかの形で転移した、とかいう話なのかな、と思っていたのだけど、どうも、それもなさそうだし。

いや、300頁を超えるあたりでは、マジでそういうオチかな、と踏んでいたのだけどw

さすがに、夜光と飛車丸の子どもの子孫が夏目でした、というオチはないよね。
その場合、夏目と春虎の関係をどう捉えればいいのか、困ってしまうし。

となると、一体、どんなカラクリが、この先、披露されるのだろう。。。

ということで、とにかく16巻、なる早でよろ!


それにしても、大蓮寺、そんなに凄かったのか。

結果として、鈴鹿が、忌み子にしか見えなくなってきたw

それと微妙に、相馬に甘い過去編だったなぁ、と。
佐月、意外と抜けていてw
しかし、それで多軌子まで気を許してホントにいいのか、とも思う。

ともあれ、てっきり相馬がラスボスだとばかり思っていたのに、それ以上に厄介だったのは、大蓮寺一族だったかぁ。。マジキチの一族だったわけだねぇ。

しかし、過去編でも変わらず登場する蘆屋道満w
もう、いっそのこと、彼に全部語らせればいいんじゃないかと思ったよw


さて、春虎はどこまで夜光なのだろうか? 

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