日本でも、毎年、夏のロンドンのロイヤル・アルバート・ホールの「プロムス」のラスト・ナイト・コンサートが、NHK BSPで放映される。
ロンドンに5年間も居ながら、知ってはいたが、いくらでも何処でも、素晴らしいクラシックのコンサートは聴けるし、どうせ巨大なサーカス劇場かドーム状の競技場でのコンサートだからと見向きもしなかったのだが、良く通っていたピカデリーのタワー・レコードで、何の気なしに堆く積まれていたPROMS 91の100ページほどの立派なパンフレットを開いて、その豪華さにビックリした。アバードやハイティンクや小澤の写真が目に入り、マリア・ユーイングやギネス・ジョーンズからブレンデルや内田光子の写真が出てきて、びっしりと素晴らしいプログラムが目白押しである。
小澤指揮のボストン交響楽団はベートーヴェンの交響曲第8番とベルリオーズの幻想交響曲、アバード指揮のベルリン・フィルはブラームスのピアノ協奏曲第2番とマーラーの交響曲第4番という調子であったが、時既に遅しで、総てソールド・アウト。手にしたチケットは、アバード指揮のグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラと、コリン・デーヴィス指揮のドレスデン国立交響楽団、ロンドン・フィルのグラインドボーン祝祭歌劇の「皇帝の戴冠」だけであった。
さて、このプロムスだが、BBCプロムナードコンサート、正式には、Henry Wood Promenade Concerts。
毎年、世界中から、クラシック音楽関係の名だたる音楽家が集まり、7月中旬から9月の上旬にかけて、毎夜、コンサートが開催されて、主なものは、BBCで放映される。
平土間のアリーナ席は立ち見席で、毎日売り出されるが、熱心なファンなどは、1シーズン通し、または、半シーズン通しのチケットを購入して通っていて、楽譜を持って熱心に聞き入る音楽学生もかなり見かける。
人気があるのは、ラスト・ナイト・コンサートで、ポピュラーなクラシック音楽に始まり、後半は、TOP演者が登場し、エドワード・エルガーの行進曲「威風堂々」第1番や国歌「女王陛下万歳」など愛国的な音楽が奏されるなど、それぞれ趣向を凝らした観客たちが華を添えるので、お祭り気分が頂点に達する。
オーケストラは、当然、BBC交響楽団である。
プロムスの光景は、説明しても分かりにくいので、ウィキペディの写真を借用すると、


アバードの方は、チケットが殆ど残っていなかったので、奥深い天上桟敷であったから気の遠くなるような距離で、シューマンのチェロ協奏曲とマーラーの第5番を聴いたのだが、凄まじいカーテンコールの渦。このオーケストラは、鉄のカーテンの東西から集めた若い音楽家によって形成されたウィーンに本拠を置く楽団だが、翌年、ロストロポーヴィッチ指揮のEUユース・オーケストラのショスタコーヴィッチの交響曲第11番を聴いたのだが、これも、すごい熱演で、偉大な巨匠たちが、若い音楽家たちのオーケストラを心血注いで積極的にバックアップし育成している姿に感動し、ヨーロッパの若い音楽家の力量と層の厚さにびっくりした。
デービスとドレスデンは、人気がないのか良い席が取れた。私は、このコンビをテレビで何度か見ていたので、非常に興味があった。当日のプログラムは、モーツアルトの交響曲第31番、シューベルトの第6番、ドボルザークの第7番であった。英国人のデービスと、旧東独のドレスデンとの相性がどうか、気になったが、きわめて端正な演奏で、ドボルザークの7番など、機械のように正確無比で、旧共産圏の鬱積したエネルギーが爆発したような激しいサウンドであった。ベルリンの壁が崩壊した直後に、ドレスデンを訪れたことがあるが、歴史のある凄い大都市が、廃墟のように無残な姿を呈していたのを覚えていて感慨深かった。
グランドボーンは、その年、現地へ行って、「フィガロの結婚」と「イドメネオ」の舞台を実際に鑑賞しており、非常に質の高い舞台を見せてくれるので、このコンサート形式の公演にも、興味を持っていた。グラインドボーンは、常設のオーケストラを持っていないので、ロンドンの4大オーケストラのロンドン・フィルが、オーケストラピットに入る。アムステルダム・オペラでは、コンセルトヘボウがピットに入っていたが、普通は、ウィーン国立歌劇場のオーケストラも兼ねているウィーン・フィルを除いて、コンサート・オーケストラのオペラ演奏は少ないのだが、ロンドン・フィルは、グラインドボーンのお陰で、素晴らしいDVDやCDを沢山出していて、その殆どが名盤として人気が高い。このモーツアルトは、それなりの水準ではあったが、歌手のアクションが限られており、天井が限りなく高いオーディトリアムなので、一寸セミステージの限界を感じて感興はもう一つであった。
とにかく、このプロムスは、クラシック音楽鑑賞の別な楽しみ方を教えてくれ面白かった。
ここでは、それ以前に、テニスの国際試合を見ており、日本の大相撲のロンドン場所を見ており、異次元の体験もしていて、興味深い場所であるが、円形の巨大なオーディトリアムなので、パブリックスペースが限られていて、丁度、後楽園球場をもっと切り詰めて小さくしたような雰囲気である。
ロイヤル・オペラ・ハウスが改装されて、レストランなど広大なパブリックスペースを取り込んで一体化した理想的なアミューズメント施設の良さを思うと惜しいと思う。
ロンドンに5年間も居ながら、知ってはいたが、いくらでも何処でも、素晴らしいクラシックのコンサートは聴けるし、どうせ巨大なサーカス劇場かドーム状の競技場でのコンサートだからと見向きもしなかったのだが、良く通っていたピカデリーのタワー・レコードで、何の気なしに堆く積まれていたPROMS 91の100ページほどの立派なパンフレットを開いて、その豪華さにビックリした。アバードやハイティンクや小澤の写真が目に入り、マリア・ユーイングやギネス・ジョーンズからブレンデルや内田光子の写真が出てきて、びっしりと素晴らしいプログラムが目白押しである。
小澤指揮のボストン交響楽団はベートーヴェンの交響曲第8番とベルリオーズの幻想交響曲、アバード指揮のベルリン・フィルはブラームスのピアノ協奏曲第2番とマーラーの交響曲第4番という調子であったが、時既に遅しで、総てソールド・アウト。手にしたチケットは、アバード指揮のグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラと、コリン・デーヴィス指揮のドレスデン国立交響楽団、ロンドン・フィルのグラインドボーン祝祭歌劇の「皇帝の戴冠」だけであった。
さて、このプロムスだが、BBCプロムナードコンサート、正式には、Henry Wood Promenade Concerts。
毎年、世界中から、クラシック音楽関係の名だたる音楽家が集まり、7月中旬から9月の上旬にかけて、毎夜、コンサートが開催されて、主なものは、BBCで放映される。
平土間のアリーナ席は立ち見席で、毎日売り出されるが、熱心なファンなどは、1シーズン通し、または、半シーズン通しのチケットを購入して通っていて、楽譜を持って熱心に聞き入る音楽学生もかなり見かける。
人気があるのは、ラスト・ナイト・コンサートで、ポピュラーなクラシック音楽に始まり、後半は、TOP演者が登場し、エドワード・エルガーの行進曲「威風堂々」第1番や国歌「女王陛下万歳」など愛国的な音楽が奏されるなど、それぞれ趣向を凝らした観客たちが華を添えるので、お祭り気分が頂点に達する。
オーケストラは、当然、BBC交響楽団である。
プロムスの光景は、説明しても分かりにくいので、ウィキペディの写真を借用すると、


アバードの方は、チケットが殆ど残っていなかったので、奥深い天上桟敷であったから気の遠くなるような距離で、シューマンのチェロ協奏曲とマーラーの第5番を聴いたのだが、凄まじいカーテンコールの渦。このオーケストラは、鉄のカーテンの東西から集めた若い音楽家によって形成されたウィーンに本拠を置く楽団だが、翌年、ロストロポーヴィッチ指揮のEUユース・オーケストラのショスタコーヴィッチの交響曲第11番を聴いたのだが、これも、すごい熱演で、偉大な巨匠たちが、若い音楽家たちのオーケストラを心血注いで積極的にバックアップし育成している姿に感動し、ヨーロッパの若い音楽家の力量と層の厚さにびっくりした。
デービスとドレスデンは、人気がないのか良い席が取れた。私は、このコンビをテレビで何度か見ていたので、非常に興味があった。当日のプログラムは、モーツアルトの交響曲第31番、シューベルトの第6番、ドボルザークの第7番であった。英国人のデービスと、旧東独のドレスデンとの相性がどうか、気になったが、きわめて端正な演奏で、ドボルザークの7番など、機械のように正確無比で、旧共産圏の鬱積したエネルギーが爆発したような激しいサウンドであった。ベルリンの壁が崩壊した直後に、ドレスデンを訪れたことがあるが、歴史のある凄い大都市が、廃墟のように無残な姿を呈していたのを覚えていて感慨深かった。
グランドボーンは、その年、現地へ行って、「フィガロの結婚」と「イドメネオ」の舞台を実際に鑑賞しており、非常に質の高い舞台を見せてくれるので、このコンサート形式の公演にも、興味を持っていた。グラインドボーンは、常設のオーケストラを持っていないので、ロンドンの4大オーケストラのロンドン・フィルが、オーケストラピットに入る。アムステルダム・オペラでは、コンセルトヘボウがピットに入っていたが、普通は、ウィーン国立歌劇場のオーケストラも兼ねているウィーン・フィルを除いて、コンサート・オーケストラのオペラ演奏は少ないのだが、ロンドン・フィルは、グラインドボーンのお陰で、素晴らしいDVDやCDを沢山出していて、その殆どが名盤として人気が高い。このモーツアルトは、それなりの水準ではあったが、歌手のアクションが限られており、天井が限りなく高いオーディトリアムなので、一寸セミステージの限界を感じて感興はもう一つであった。
とにかく、このプロムスは、クラシック音楽鑑賞の別な楽しみ方を教えてくれ面白かった。
ここでは、それ以前に、テニスの国際試合を見ており、日本の大相撲のロンドン場所を見ており、異次元の体験もしていて、興味深い場所であるが、円形の巨大なオーディトリアムなので、パブリックスペースが限られていて、丁度、後楽園球場をもっと切り詰めて小さくしたような雰囲気である。
ロイヤル・オペラ・ハウスが改装されて、レストランなど広大なパブリックスペースを取り込んで一体化した理想的なアミューズメント施設の良さを思うと惜しいと思う。