第1章の後半は、「移民」。
移民と言えば、どうしても、昨今、ヨーロッパに雪崩れ込む中東やアフリカからの難民や、トランプが擁壁を作って阻止したメキシコや中南米からの移民などが念頭に浮かぶが、出生率の高い国から低い国へ、或は、内戦や政情不安、飢饉、経済恐慌、自然災害などの危機が発生した後など、移住者が増える。
国境をまたぐ移住は、封じ込めの必要な「洪水」と見做されて、壁を建設せよと叫ぶリーダーが出現し、外国人排斥のポピュリスト的な右翼政党が台頭し、反移民のプラカードを掲げた市民が街路に繰り出すなど混乱を来す。
移住者は、ブルーカラーを押しのけ、安定した製造業や農業の仕事を横取り、福利厚生サービスに只乗りすると国民から排斥されているが、そうであろうか、実際は逆で、移民によって享受するホスト国の恩恵の方が大きい。と言うのが、著者の論点である。
実際に、移民の大半は殆どスキルがないか、非常に高いスキルを持つかのどちらかで、母国でよい職に就ける見込みがないので移住する、、スキルレベルが中程度の者には、母国で働き口に困らないので移住しない。
ところが、先進国で生じている失業の大半は製造業部門で、中程度のスキルを持つ労働者で起こっており、これらのタスクは比較的簡単に自動化できるので、失業に伴う不安と怒りは移民ではなく技術の進歩・合理化に向かうべきである。
アメリカでの高校中退の移民に多い職業は、メイド・家政婦、料理人、農業従業者で、米国生まれの中退者に多い職業は、レジ係、トラックなど運転手、清掃作業員・用務員で、両者は殆ど競合していない。
移民が移住先の住民の経済状況を悪化させているのなら、移民と雇用を奪い合っているのなら、その国の住民の賃金が下がるはずだが、その徴候はなく、不利な条件にあるのは、移住時期の早かった移民だと言うから興味深い。
また、移民が行政の福祉事業から不均衡に利益を得ている、移民が労働者として貢献する以上に、社会事業の受給者として得をしていると言う非難に対してだが、移民の方がはるかに就業者率が高く、あらゆる行政レベルにおいて、政府の受給金以上に税金を払っていて、より大きなプラスの純財政的貢献をしている、不法移民は、税金を払うだけで、社会福祉の恩恵など受け得ないのである。
さて、高度な知識や技術、スキルを持った移民の恩恵には、計り知れないものがあり、アメリカが、世界一の一等国になり得たのは、これらの高度な知的頭脳の流入あってこそだと言えようか。
グーグル、インテル、イーベイ、フェイスブック、リンクトイン、テスラ、アメリカを一変させた企業だが、これらの企業の創業者や共同起業者は移民である。アメリカのテック系ベンチャーの23%は移民が創業し、アメリカの「ユニコン企業」87社のうち44社が移民による創業である。移民はホスト国の人間より革新的で起業する傾向が強くて、経済にとって移民は恩恵だという。
科学分野のノーベル賞受賞者、全米で85人だが、そのうち33人、すなわち、40%近くが外国生まれである。知識集約型経済が成長し続ける世界において、アメリカが、世界一革新的であると言う地位を維持し続けるためには、移民の活躍が必須だと言うことである。
トランプが、アメリカ経済にとって虎の子の科学者やビザの発給を制限したが、こんな馬鹿なことをしていると、豊富な人材を活用するために企業が研究開発拠点を海外に移すので、アメリカは仕事が立ちゆかなくなると、WSのブレッタ・グレノンが説いている。
アメリカが移民を規制すると、恩恵を受けるのは、中国、インド、カナダで、アメリカの企業がこれらの国に研究開発拠点を移転してしまうと言う。
尤も、アメリカ人の雇用を奪うという心配は皆無ではないであろうが、閉鎖政策が、アメリカの科学技術の発展進歩、ひいては、経済社会の成長発展に大きく齟齬を来すことを考えれば、自由で解放されたアメリカの国是を押し通すことが如何に大切かは自明である。
先進国の多くの国は、少子高齢化によって人口が減少傾向にあり経済的にも下降傾向を辿っているのだが、アメリカが、これと大きく違っているのは、主に地政学的にも当然だが、メキシコを筆頭とした中南米からの難民の流入が継続していて、この人口の若返りで、減少することなく増え続けて行き、経済成長を維持し、国力を増進し続けられるであろうと言うことである。
そして、アメリカが、世界最高峰の大学や研究機関、最先端の科学技術を駆使した革新的な企業を擁して、イノベーションを追求する土壌を育む限り、知的リーダーとして覇権以上の輝きを増すであろう。
しかし、トランプのようなアザ花を咲かせれば、一瞬にして夢が吹き飛んでしまう。
移民と言えば、どうしても、昨今、ヨーロッパに雪崩れ込む中東やアフリカからの難民や、トランプが擁壁を作って阻止したメキシコや中南米からの移民などが念頭に浮かぶが、出生率の高い国から低い国へ、或は、内戦や政情不安、飢饉、経済恐慌、自然災害などの危機が発生した後など、移住者が増える。
国境をまたぐ移住は、封じ込めの必要な「洪水」と見做されて、壁を建設せよと叫ぶリーダーが出現し、外国人排斥のポピュリスト的な右翼政党が台頭し、反移民のプラカードを掲げた市民が街路に繰り出すなど混乱を来す。
移住者は、ブルーカラーを押しのけ、安定した製造業や農業の仕事を横取り、福利厚生サービスに只乗りすると国民から排斥されているが、そうであろうか、実際は逆で、移民によって享受するホスト国の恩恵の方が大きい。と言うのが、著者の論点である。
実際に、移民の大半は殆どスキルがないか、非常に高いスキルを持つかのどちらかで、母国でよい職に就ける見込みがないので移住する、、スキルレベルが中程度の者には、母国で働き口に困らないので移住しない。
ところが、先進国で生じている失業の大半は製造業部門で、中程度のスキルを持つ労働者で起こっており、これらのタスクは比較的簡単に自動化できるので、失業に伴う不安と怒りは移民ではなく技術の進歩・合理化に向かうべきである。
アメリカでの高校中退の移民に多い職業は、メイド・家政婦、料理人、農業従業者で、米国生まれの中退者に多い職業は、レジ係、トラックなど運転手、清掃作業員・用務員で、両者は殆ど競合していない。
移民が移住先の住民の経済状況を悪化させているのなら、移民と雇用を奪い合っているのなら、その国の住民の賃金が下がるはずだが、その徴候はなく、不利な条件にあるのは、移住時期の早かった移民だと言うから興味深い。
また、移民が行政の福祉事業から不均衡に利益を得ている、移民が労働者として貢献する以上に、社会事業の受給者として得をしていると言う非難に対してだが、移民の方がはるかに就業者率が高く、あらゆる行政レベルにおいて、政府の受給金以上に税金を払っていて、より大きなプラスの純財政的貢献をしている、不法移民は、税金を払うだけで、社会福祉の恩恵など受け得ないのである。
さて、高度な知識や技術、スキルを持った移民の恩恵には、計り知れないものがあり、アメリカが、世界一の一等国になり得たのは、これらの高度な知的頭脳の流入あってこそだと言えようか。
グーグル、インテル、イーベイ、フェイスブック、リンクトイン、テスラ、アメリカを一変させた企業だが、これらの企業の創業者や共同起業者は移民である。アメリカのテック系ベンチャーの23%は移民が創業し、アメリカの「ユニコン企業」87社のうち44社が移民による創業である。移民はホスト国の人間より革新的で起業する傾向が強くて、経済にとって移民は恩恵だという。
科学分野のノーベル賞受賞者、全米で85人だが、そのうち33人、すなわち、40%近くが外国生まれである。知識集約型経済が成長し続ける世界において、アメリカが、世界一革新的であると言う地位を維持し続けるためには、移民の活躍が必須だと言うことである。
トランプが、アメリカ経済にとって虎の子の科学者やビザの発給を制限したが、こんな馬鹿なことをしていると、豊富な人材を活用するために企業が研究開発拠点を海外に移すので、アメリカは仕事が立ちゆかなくなると、WSのブレッタ・グレノンが説いている。
アメリカが移民を規制すると、恩恵を受けるのは、中国、インド、カナダで、アメリカの企業がこれらの国に研究開発拠点を移転してしまうと言う。
尤も、アメリカ人の雇用を奪うという心配は皆無ではないであろうが、閉鎖政策が、アメリカの科学技術の発展進歩、ひいては、経済社会の成長発展に大きく齟齬を来すことを考えれば、自由で解放されたアメリカの国是を押し通すことが如何に大切かは自明である。
先進国の多くの国は、少子高齢化によって人口が減少傾向にあり経済的にも下降傾向を辿っているのだが、アメリカが、これと大きく違っているのは、主に地政学的にも当然だが、メキシコを筆頭とした中南米からの難民の流入が継続していて、この人口の若返りで、減少することなく増え続けて行き、経済成長を維持し、国力を増進し続けられるであろうと言うことである。
そして、アメリカが、世界最高峰の大学や研究機関、最先端の科学技術を駆使した革新的な企業を擁して、イノベーションを追求する土壌を育む限り、知的リーダーとして覇権以上の輝きを増すであろう。
しかし、トランプのようなアザ花を咲かせれば、一瞬にして夢が吹き飛んでしまう。