熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

マウロ・ギレン 著「2030:世界の大変化を「水平思考」で展望する」(3)電子書籍

2021年09月17日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   私は、子供の頃から本を読むのが好きで、読書家を任じている。
   しかし、今でも紙媒体の本を読んでいて、電子書籍には、全く興味がない。
   ニュースでも音楽でも映画でも、殆どのものはデジタル化しているのだが、電子書籍は足踏み状態で、いつまで経っても、紙の本の地位を奪えないでいる。
   グーテンベルクの偉大な発明を駆逐できないのは、何故であろうか、と言うのがこの項のテーマである。

   色々、その理由が書かれているが、面白いと思ったのは、
   本を読むときの方が、電子書籍リーダーやタブレットで読むときよりも、本の内容を理解しやすいと言う見解である。
   電子書籍では、今どこを読んでいるのか分からないが、紙の本では、どの辺りを読んでいるのかが分かり、この暗黙の感覚が、想像以上に重要である。
   ある文章によって、既に読んだ記憶が蘇る時、人は紙の本のページをあっちこっちめくって、その箇所を楽しみながら探そうとする、紙の本を読み進めていく過程で読者が感じるセレンディピティやコントロール感を、電子書籍では妨げられている。と言う。
   いずれにしても、本の良さは、いくらでも好きなだけ、ページを繰って、反復読解出来ることだと思っている。
  
   これと関係あるかないかは別にして、私の本の読み方は、気づきや発見など気に入った箇所には、付箋を貼り、時には、線引きし、頻繁に索引を引いたり、付箋や線引きの箇所を反復しながら読んでいく。
   電子書籍では、小説など、この必要のない書籍は読み飛ばすだけでも良いのだが、専門書や一寸襟を正して読む本には、これが出来ない。
   それに、私の場合には、本を何冊も並行読みしたり、しきりに、多くの本を参照しながら読み進めていくので、電子書籍リーダーやタブレットの数しか開けない電子書籍では用を足せないのである。
   足の踏み場もないほど本に囲まれて読書三昧に明け暮れている私には、電子書籍には馴染めそうにはない。 

   ただ、アマゾンの書籍ページで、「試し読み」表示のある本では、Kindle版のまえがきや要約や第1章などが読めて、本の概要がつかめるので、これは、重宝して利用させて貰っている。

   ところで、先進国では、電子書籍は不振だが、開発途上国など貧しい国にとっては、天の恵みだと言う。
   図書館も書店もないところへ、どうして、本を届けるのか、
   アフリカが、モバイル決済の最前線に立っていることを考えれば、電子書籍リーダーやタブレットやPCさえ配布できれば、アフリカが、世界有数の電子書籍ユーザーになっても不思議はないと言うことである。
   もう、何十年も前のことだが、森と湖に囲まれたフィンランドに行って、何故、ノキアが世界を制覇したのか、有線を縦横無尽に引けない国土の為せる技を感じたのである。
   尤も、そのためには、アフリカでは、膨大な準備やそのための資金が必要だが、これこそ、地球温暖化対策と同様のグローバルベースの協力が必要となる。
コメント
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