熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

スティーヴン ワインバーグ 著「科学の発見」(ガリレオ)

2023年07月08日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   先に、スティーヴン ワインバーグ 著「科学の発見」で、(科学後進の中世ヨーロッパ)について感想を書いた。
   科学については、私の専門外であり、知識に乏しいので、世界史の知識深掘りにと思って読んだのだが、天文学の理論など、この本では詳細にテクニカルノートで解説されていて行き届いているのだが、如何せん、難しくて良く分からない。

   突出した歴史上の科学者は、ガリレオ、ニュートン、ダーウィン、アインシュタインと言うことだが、私の知識は、歴史の勉強で片鱗をかすったくらいで、全く初歩の初歩で、多少知っているのは、ダーウィンくらいであろうか。
   まず、興味深かったのは、ガリレオと宗教との対立。
   ガリレオの「天文対話」では、天動説のプトレマイオス説と地動説のコペルニクス説の「二大世界体系」が論じられているだけだが、当時、主な世界体系は、4つあって、他に、同心天球が地球を中心として回転しているとするアリストテレス説、および、地球は静止していて、太陽と月は地球の周りを回っているが、他のすべての惑星は太陽の周りを回っているとするティコ説があった。
   コペルニクス的転回と言われれる程革命的なコペルニクスの地動説の着想は1508年から1510年ごろだと推定されているが、ガリレオが、異端審問で有罪判決を受けたのは、1633年4月。
   ガリレオは、1615年に異端審問所から「コペルニクス説を信じること、擁護すること、教えること」を禁じる公開命令書を受け取っていたが、この命令書に違反したことで、「異端の濃厚な疑い」で終身刑を言い渡され、天動説の撤回を宣告させられたのである。
   法廷を出るとき、ガリレオがラテン語で、「それでも地球は動く」とつぶやいたという話があるが、おそらく作り話であろうと言うのが面白い。  

   私が関心を持ったのは、これらの論争でも、プトレマイオスやアリストテレス、それに、ケプラーさえプラトンの呪縛から完全に逃れなかったと言うほど、当時の科学にまでギリシャの影響が残っていて、世界観を縛り付けていた、その強度な影響力の存在である。

   もう一つガリレオで印象的なのは、望遠鏡の導入と使用によって観測天文学に革命をもたらし、彼の運動の研究は、現代実験物理学の模範となったことである。ガリレオは望遠鏡を自作して、当時角度が3~4倍だったのを20倍までに高めて、この望遠鏡を使って天体観測を初めて、偉大な6つの発見をした。ことである。
   望遠鏡、レンズで思い出すのは、オブスキュラが、フェルメールの素晴しい絵画を生み出したこと、
   私は、写真歴が長いので、レンズは神秘的な魔物であることを知っているので、面白い。

   いずれにしろ、コペルニクス、ティコ・ブラーエ、ケプラー、ガリレオの計算と観測によって、太陽系は正しく解明され記述され、ケプラーの三法則の形に纏められた。
   ガリレオが正しかろうと間違っていようと、教会にとって教義に反する異端であれば断罪された宗教優位の時代、
   今では、現代社会は、一般的に、一部の例外を除いて、宗教上の意見に対して、その意見が正しかろうと間違っていようと、政府や宗教的権威が罰則を科す権利はないと言う教訓を学んでいる。ハラリの言う「ホモゼウス」の時代に逆転したのである。
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