
24日と25日、東京ドイツ文化会館で、独日法律家協会と早稲田大学21世紀COE「企業法制と法創造」総合研究所主催で、日本におけるドイツ年2005/2006に一環として、国際シンポジューム「日本とドイツにおける公企業の民営化」が開かれていて聴講した。
参加者の大半は、法律家や大学関係、役所関係であったが、勉強の為に参加した部外者の私にも結構面白かった。
ドイツの民営化の場合には、共産主義体制の旧東ドイツの国有・公有企業の民営かをも含んでいるので、日本より複雑で、そのあたりも興味深い論点である。
日独の公企業の民営化についての問題や法制度等について一般論を皮切りに、実例として、鉄道、即ち、JR東日本とドイツ鉄道(DB)、そして、空港、即ち、成田空港とフラポルト(フランクフルト空港)の具体的な民営化について説明が行われて、質疑応答があった。
前回の早稲田のシンポジュームで、ドイツポストの民営化について総裁の説明があった時にも、民営化以前の状態が官僚的退廃的な組織になり下がってしまっていて如何に惨めであったかを語っていたのだが、ドイツ鉄道も大同小異であった模様。
しかし、リシャッフル後は、経営改革の結果、多額の設備更新投資や政府補助金の削減を賄っても余りある利益確保を成し遂げたと言う。
JRと違って、まだ、株式の一般公開には至ってはいないが、鉄道以外にロジスティック等業域の多角化を図るなど、意欲的に改革を推進していると言う。
ドイツ鉄道は、ドイツには競争する私鉄がないし、それに、ヨーロッパ急行はあるが高速の新幹線はないし、それに、人キロ当たりの効率は極めて悪くて、多くの問題を抱えている。
それに、ヨーロッパ鉄道網の一環を形成しているのでドイツだけでは解決出来ない問題もある。
私は、ドイツ国内移動の時は、航空網が小型機しか飛んでいないので、自動車と鉄道を使ったが、やはり、日本の方が遥かに国内交通システムは便利である。
今あるのかどうか知らないが、昔、ルフトハンザが、デュッセルドルフからフランクフルト経由でロンドンに飛んだ時、デュッセルドルフからフランクフルトまではルフトハンザ仕立ての鉄道列車が走っていて、ライン川沿岸風景を楽しみながら優雅な旅をした経験がある。
凄いドイツ美人のスチュワーデスが、機内食を運んできてくれるのも同じで、ドイツの白ワインが美味しかった。
ところで、フラポルトの方だが この方は比較的当初から営業成績は良いようだが、今、IPO,株式公開準備に忙しそうで、話を聞いていると、ドイツも、結構アメリカナイズされた株式市場に変質しているような感じがした。
この空港は、イギリスのBAAをターゲットに考えているようだが、やはり、空港の商業化の拡大を企図している様である。
成田空港も、現在改修中の第一ターミナルの拡張部分に立派な商業施設「仲見世」を作るようだが、とにかく、空港のショッピング・センター機能の拡充と整備は、JRの駅中ビジネスと同じで、業績向上の切り札であることには違いなさそうである。
成田空港の黒野匡彦社長が、ロンドンのヒースロー空港をスペインの建設会社が買収するニュースがあるとして、完全民営化で株式を一般公開した時の、敵対的買収の脅威を語っていたが、時価総額が、3000億円程度ではあり得る話である。
それ以前に、「民間で出来ることは民間で」と言うポリシーだが、民と公の区別を何処に置くのかが最重要なポイントである。
私は、今でも、公企業の能率・効率の悪さと、時には発生する腐敗は、公企業だから起こる現象ではなく、あくまで、経営者に経営能力がなくマネジメントが悪い所為だと思っている。
民間企業には民間企業の日向と影があり、公企業にも公企業の日向と影がある。
民営化が行き過ぎると利益優先の経営となり公的企業としての重要な使命がないがしろにされることもある。
あの尼崎で起こったJR東日本の事故であるが、どうしょうもなかったJR福知山線を阪急宝塚線に勝つためには、ある意味では必然の安全軽視であったかも知れないのである。
今、役所に行くと極めて親切であり、郵便局など見違えるようになり、場合によっては、銀行や百貨店の方がサービス精神に欠けていて態度が悪い。
私の言いたいのは、公共福祉の為に、或いは、国民の幸せのためには、政府公共団体が死守しなければならない業域があると言うこと、そして、その業域とは何なのかを十分にわきまえて民営化を叫ぶことである。
アメリカでは、軍事や基礎教育、保安、厚生医療福祉等々、民営化が行き過ぎて社会に問題を引き起こしているケースがあると言う。
何でも民営化しさえすれば良くなると言う極端な風潮が一寸気になっている。
参加者の大半は、法律家や大学関係、役所関係であったが、勉強の為に参加した部外者の私にも結構面白かった。
ドイツの民営化の場合には、共産主義体制の旧東ドイツの国有・公有企業の民営かをも含んでいるので、日本より複雑で、そのあたりも興味深い論点である。
日独の公企業の民営化についての問題や法制度等について一般論を皮切りに、実例として、鉄道、即ち、JR東日本とドイツ鉄道(DB)、そして、空港、即ち、成田空港とフラポルト(フランクフルト空港)の具体的な民営化について説明が行われて、質疑応答があった。
前回の早稲田のシンポジュームで、ドイツポストの民営化について総裁の説明があった時にも、民営化以前の状態が官僚的退廃的な組織になり下がってしまっていて如何に惨めであったかを語っていたのだが、ドイツ鉄道も大同小異であった模様。
しかし、リシャッフル後は、経営改革の結果、多額の設備更新投資や政府補助金の削減を賄っても余りある利益確保を成し遂げたと言う。
JRと違って、まだ、株式の一般公開には至ってはいないが、鉄道以外にロジスティック等業域の多角化を図るなど、意欲的に改革を推進していると言う。
ドイツ鉄道は、ドイツには競争する私鉄がないし、それに、ヨーロッパ急行はあるが高速の新幹線はないし、それに、人キロ当たりの効率は極めて悪くて、多くの問題を抱えている。
それに、ヨーロッパ鉄道網の一環を形成しているのでドイツだけでは解決出来ない問題もある。
私は、ドイツ国内移動の時は、航空網が小型機しか飛んでいないので、自動車と鉄道を使ったが、やはり、日本の方が遥かに国内交通システムは便利である。
今あるのかどうか知らないが、昔、ルフトハンザが、デュッセルドルフからフランクフルト経由でロンドンに飛んだ時、デュッセルドルフからフランクフルトまではルフトハンザ仕立ての鉄道列車が走っていて、ライン川沿岸風景を楽しみながら優雅な旅をした経験がある。
凄いドイツ美人のスチュワーデスが、機内食を運んできてくれるのも同じで、ドイツの白ワインが美味しかった。
ところで、フラポルトの方だが この方は比較的当初から営業成績は良いようだが、今、IPO,株式公開準備に忙しそうで、話を聞いていると、ドイツも、結構アメリカナイズされた株式市場に変質しているような感じがした。
この空港は、イギリスのBAAをターゲットに考えているようだが、やはり、空港の商業化の拡大を企図している様である。
成田空港も、現在改修中の第一ターミナルの拡張部分に立派な商業施設「仲見世」を作るようだが、とにかく、空港のショッピング・センター機能の拡充と整備は、JRの駅中ビジネスと同じで、業績向上の切り札であることには違いなさそうである。
成田空港の黒野匡彦社長が、ロンドンのヒースロー空港をスペインの建設会社が買収するニュースがあるとして、完全民営化で株式を一般公開した時の、敵対的買収の脅威を語っていたが、時価総額が、3000億円程度ではあり得る話である。
それ以前に、「民間で出来ることは民間で」と言うポリシーだが、民と公の区別を何処に置くのかが最重要なポイントである。
私は、今でも、公企業の能率・効率の悪さと、時には発生する腐敗は、公企業だから起こる現象ではなく、あくまで、経営者に経営能力がなくマネジメントが悪い所為だと思っている。
民間企業には民間企業の日向と影があり、公企業にも公企業の日向と影がある。
民営化が行き過ぎると利益優先の経営となり公的企業としての重要な使命がないがしろにされることもある。
あの尼崎で起こったJR東日本の事故であるが、どうしょうもなかったJR福知山線を阪急宝塚線に勝つためには、ある意味では必然の安全軽視であったかも知れないのである。
今、役所に行くと極めて親切であり、郵便局など見違えるようになり、場合によっては、銀行や百貨店の方がサービス精神に欠けていて態度が悪い。
私の言いたいのは、公共福祉の為に、或いは、国民の幸せのためには、政府公共団体が死守しなければならない業域があると言うこと、そして、その業域とは何なのかを十分にわきまえて民営化を叫ぶことである。
アメリカでは、軍事や基礎教育、保安、厚生医療福祉等々、民営化が行き過ぎて社会に問題を引き起こしているケースがあると言う。
何でも民営化しさえすれば良くなると言う極端な風潮が一寸気になっている。