熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

世の中がおかしくなったのか・・・耐震強度偽装事件

2005年12月01日 | 政治・経済・社会
   耐震強度偽装事件で騒がれているが、誰が主導したのかは別にして、関わった関係者総て、デベロッパー、設計事務所、建設会社、場合によっては、販売会社や許認可を下ろしている監督官庁等総てが、その事実を知っていた筈で、また知らなかったらおかしいと言うことである。
   何れにしろ、何か問題が発生すると、関係者が知らなかったと言って逃げるが、大概知らない筈がなく、知らなければ怠慢であってその職を奉ずる資格が無いと言う極単純な事実である。

   例えば、今回の場合、問題の規模のマンションやホテル工事については、当然ある程度の経験を積んだ建築技術者が施行を担当しており、鉄筋の数が不足している位分かっているし、また、配筋検査など施工検査は監督官庁の責任であり、担当者が本当に現場に行ってチェックしておれば簡単に分かる話で、当事者の任務懈怠は勿論監督責任回避の極みでもある。
   しかし、深刻だったのは、不況下の激烈な競争の結果の異常な価格破壊で、現実には、建設業者にとっては赤字覚悟でしか受注できなかったほど、あのジャンルのマンションやホテルの受注価格が下落していたことであろうか。

   問題は、信頼関係によって成り立っていた一連の制度が、関係者の企業倫理の退廃と怠慢によって機能停止してしまったことで、これをどう正して行けば良いかと言うことであろう。
   結論から先に言うと、私は、現存する日本の経済社会に対する日本人の意識改革が先だと思うが、これは、一朝一夕には無理なので、アメリカの様に法体系を強化して秩序を回復する以外にないと思っている。

   10年以上前になるが、アメリカの某大ホテル会社の社長と一緒にハンガリーのブダペストでホテル用地の入札に参加して、ハンガリー政府と交渉したことがある。
   その際、共産政権時代の悪弊が残っていたのであろう、相手から賄賂をにおわせる発言があったが、その社長は、法で禁止されていると言って言下に拒絶した。
   結局、その土地は、政府のバックアップがあってフランス業者に落札されたが、アメリカの法制度が如何に厳しく企業倫理を規制しているのかを経験した時であった。

   もう一つ印象に残っているのはオランダの話である。
   これも大分前の話になるが、オランダは、ヨーロッパの中でも談合が巾をきかせていた国であった。
   国土の25%が海面下の土地で、堤防が決壊すれば国土の多くが壊滅して大変なことになり治水対策が生命線であった。
   こんな国情から、土木を中心とした技術集団が国の中枢を占める国情が出来上がったのか、建設業のオーダリーマーケティングが機能するようになって行った。
   この場合も、極めて厳しい法体系を整備するようになって、現在では問題がなくなったと聞いている。

   民主主義のイギリスを見ていると、モラルの退廃と法規制のイタチゴッコだが、それが、徐々に成長して大人の国を作り上げてきた。
   善良な日本国民が安心して暮らせるような経済社会を築く為にも、ある程度の法制度の整備が必須だと思っている。
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