
九月中旬、IMFはWORLR ECONOMIC OUTLOOKを発表した。その第2章の「グローバル インバランス:貯蓄と投資見通し」に触れて、ロンドン・エコノミストが電子版で面白い記事を書いている。
IMFの論点は、以下のとおり。(IMF Mr.R.Cardarelli報告要約)
異常なグローバル不均衡と低い長期金利を惹起している原因は何か。先進国とエマージングマーケットの貯蓄と投資動向を調査した結果、現在は、貯蓄も歴史的な異常な低水準にあるが、投資水準の方がそれより遥かに低くなっており、貯蓄より投資が低水準すぎることがその原因であることが分かった。
貯蓄・投資動向は、国によって違うが、その特徴は、アメリカの異常な貯蓄に対する投資過多、財政・経常収支赤字に対して、中国や産油国の貯蓄の増加及び日本と中国以外のアジアの過少投資である。
アメリカの経常赤字は、エマージングマーケットや産油国を含んだ国々の過剰貯蓄によって穴埋めされている。
まず第一の命題は、投資の拡大により長期金利を上げなければならない。グローバル投資が拡大すれば必ず金利が上がって過熱化している住宅市場を冷やして個人消費を下げることになる。
次に、現実の不均衡や政治的経済的に可能な調整等そのスケールを考えれば、単純な処方箋などない。現在のグローバルな経常収支の不均衡を修正する為には、アメリカの貯蓄の増加、日本と欧州の経済の拡大、アジアや産油国の投資拡大など多方面の総合的解決が必要である。
以上
アメリカのニューエコノミーと好調な経済を支えたのは、ヨーロッパからの大量の資金移動によると言われているが、その後の不況で撤退したヨーロッパ勢に変わって、日本や中国などアジアの国が、膨大な余剰ドルをアメリカに還流してアメリカ経済を、そして、大幅なドル買い介入を行ってドルを支えてアメリカの低金利を維持してきた。
現実のアメリカは、経常収支の赤字がGDPの5%に達しており、アメリカの家計の貯蓄は、おおばん振る舞いの消費支出を維持する為に資産を食い潰して借金を拡大しており、殆どゼロ水準に近い。
多くの経済学者は、アメリカの経済が、殆どバブルの様相を呈してきた住宅ブームに依存している現状を憂慮している。
しかし、ブッシュ支持者は、放蕩三昧の個人消費とバブルの住宅市場を健全だと言い、世界規模での過剰貯蓄が、その余剰金をアメリカの金融市場に喜んで注ぎ込んでくれるので、いくらFRBが金融引き締め政策をとっても、金利など上がらない、と豪語している。
クリントンの時は、ベルリンの壁の崩壊で軍事費の削減、即ち、「平和の配当」とニューエコノミーによる異常な株高・好景気と言う神風が吹いた為に財政収支が一時黒字になった。
しかし、ブッシュは、徒手空拳なのに、減税を行い、更に戦時体制経済にシフトしており、財政の健全化は勿論、双子の赤字の解消など不可能だと専門家は言う。
双子の赤字の解消を、そして特に財政支出の削減にアメリカが失敗すれば、ドルの暴落によって、世界全体に徳政令をしく以外に方法がなかろう。無尽蔵に金をつぎ込んだアジア人はどうなるのか。
何故、世界の金が間違った方向に行くのか、エコノミスト誌は問う。
問題は、やはり、投資不足、投資機会の不足である。
金余り諸国、特にアジアでは、1997-8年のアジア通貨危機の影響が影を引いており、また、経済状態が脆弱で投資機会が少なくリスクが高いので、余剰資金は、安全な先進国、ハードカレンシーの国アメリカに向かわざるを得ないのである。
この流れを、IMFは、日本とヨーロッパのGDPアップ・経済拡大によって、そして、アジア等エマージングマーケットでの投資機会の拡大によって阻止することを期待しているのである。
アメリカは、自分自身で歩くことを考えなければならない。
実力をつけてきたヨーロッパ合衆国にすぐに追いつかれて、ユーロにドルの覇権を奪われるのもそんなに遠いことではない筈なのである。
しかし、ものが欲しければ自分で輪転機を回せば良い基軸通貨ドルの国アメリカ人には、消費切り詰め、生活の引き締めなど考えられないのかもしれない。
花見酒の経済、パチンと弾ければ、困るのはアメリカだけではない。
IMFの論点は、以下のとおり。(IMF Mr.R.Cardarelli報告要約)
異常なグローバル不均衡と低い長期金利を惹起している原因は何か。先進国とエマージングマーケットの貯蓄と投資動向を調査した結果、現在は、貯蓄も歴史的な異常な低水準にあるが、投資水準の方がそれより遥かに低くなっており、貯蓄より投資が低水準すぎることがその原因であることが分かった。
貯蓄・投資動向は、国によって違うが、その特徴は、アメリカの異常な貯蓄に対する投資過多、財政・経常収支赤字に対して、中国や産油国の貯蓄の増加及び日本と中国以外のアジアの過少投資である。
アメリカの経常赤字は、エマージングマーケットや産油国を含んだ国々の過剰貯蓄によって穴埋めされている。
まず第一の命題は、投資の拡大により長期金利を上げなければならない。グローバル投資が拡大すれば必ず金利が上がって過熱化している住宅市場を冷やして個人消費を下げることになる。
次に、現実の不均衡や政治的経済的に可能な調整等そのスケールを考えれば、単純な処方箋などない。現在のグローバルな経常収支の不均衡を修正する為には、アメリカの貯蓄の増加、日本と欧州の経済の拡大、アジアや産油国の投資拡大など多方面の総合的解決が必要である。
以上
アメリカのニューエコノミーと好調な経済を支えたのは、ヨーロッパからの大量の資金移動によると言われているが、その後の不況で撤退したヨーロッパ勢に変わって、日本や中国などアジアの国が、膨大な余剰ドルをアメリカに還流してアメリカ経済を、そして、大幅なドル買い介入を行ってドルを支えてアメリカの低金利を維持してきた。
現実のアメリカは、経常収支の赤字がGDPの5%に達しており、アメリカの家計の貯蓄は、おおばん振る舞いの消費支出を維持する為に資産を食い潰して借金を拡大しており、殆どゼロ水準に近い。
多くの経済学者は、アメリカの経済が、殆どバブルの様相を呈してきた住宅ブームに依存している現状を憂慮している。
しかし、ブッシュ支持者は、放蕩三昧の個人消費とバブルの住宅市場を健全だと言い、世界規模での過剰貯蓄が、その余剰金をアメリカの金融市場に喜んで注ぎ込んでくれるので、いくらFRBが金融引き締め政策をとっても、金利など上がらない、と豪語している。
クリントンの時は、ベルリンの壁の崩壊で軍事費の削減、即ち、「平和の配当」とニューエコノミーによる異常な株高・好景気と言う神風が吹いた為に財政収支が一時黒字になった。
しかし、ブッシュは、徒手空拳なのに、減税を行い、更に戦時体制経済にシフトしており、財政の健全化は勿論、双子の赤字の解消など不可能だと専門家は言う。
双子の赤字の解消を、そして特に財政支出の削減にアメリカが失敗すれば、ドルの暴落によって、世界全体に徳政令をしく以外に方法がなかろう。無尽蔵に金をつぎ込んだアジア人はどうなるのか。
何故、世界の金が間違った方向に行くのか、エコノミスト誌は問う。
問題は、やはり、投資不足、投資機会の不足である。
金余り諸国、特にアジアでは、1997-8年のアジア通貨危機の影響が影を引いており、また、経済状態が脆弱で投資機会が少なくリスクが高いので、余剰資金は、安全な先進国、ハードカレンシーの国アメリカに向かわざるを得ないのである。
この流れを、IMFは、日本とヨーロッパのGDPアップ・経済拡大によって、そして、アジア等エマージングマーケットでの投資機会の拡大によって阻止することを期待しているのである。
アメリカは、自分自身で歩くことを考えなければならない。
実力をつけてきたヨーロッパ合衆国にすぐに追いつかれて、ユーロにドルの覇権を奪われるのもそんなに遠いことではない筈なのである。
しかし、ものが欲しければ自分で輪転機を回せば良い基軸通貨ドルの国アメリカ人には、消費切り詰め、生活の引き締めなど考えられないのかもしれない。
花見酒の経済、パチンと弾ければ、困るのはアメリカだけではない。