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プロジェクトシンジケートのルービニ教授の「Trump and the Global Economic Risk Picture」
世界は戦争、大国間の緊張の高まり、その他の地政学的リスクに悩まされているが、これらの要因のほとんどは短期的には経済や市場の見通しに根本的な影響を与えていない。 しかし、11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが勝利し、米国が攻撃的な「米国第一主義」の姿勢に戻れば状況は変わる可能性がある。トランプが提案する経済政策の課題は、今や世界中の経済と市場に対する最大の脅威となっている。と言うのである。
国際情勢や地政学的リスクなどについて詳述しているのだが、要約すると、
ロシアとウクライナの戦争は相変わらず残忍であるが、その世界的な影響はより穏やかになる可能性が高い。 現在、NATO の直接関与やロシアによる戦術核兵器の使用のリスクは、戦争初期に比べて低下している。
イスラエル・ハマス戦争もこれまでのところ、地域的および世界的な経済的影響は限定的であるにすぎない。
米国と中国の間の冷戦、つまり戦略的競争は時間の経過とともに悪化し続ける可能性が高いが、今年は関係がそれほど悪化しない可能性がある。
台湾問題は今年後半に沸騰する可能性があるが、それが今年や来年に起こる可能性は低い。 中国の経済的弱さと脆弱さにより、米国や西側諸国との対立が薄れる可能性がある。
同時に、西側諸国のリスク回避、リショアリング、友好国ショアリング、商品、サービス、資本、技術の貿易制限は、短期的にはあまり強化されないであろう。 戦略的競争が管理され続ける限り、世界経済への影響は控えめなものとなろう。
成長と市場に対する最大の地政学リスクは米国選挙である。 しかしここで、トランプとバイデンが外交政策の優先事項のいくつかを共有していることを認識することが重要である。 民主党も共和党も同様に中国に対してタカ派であり、今後もそうである。
トランプとバイデンの最大の違いは、NATO、欧州、ロシア・ウクライナ紛争への問題である。 トランプがウクライナを放棄し、ロシアを戦争に勝たせるのではないかと心配する向きもあるが、中国に対してタカ派姿勢を維持する公算が大きいため、中国が(台湾に関して)ロシアにウクライナを占領させるシグナルを送ることを懸念する。 さらに、トランプが本当に望んでいるのは、欧州のNATO加盟国が防衛にもっと支出することで、 そうすれば、中国を抑止するためにアジアに軸足を置く同盟の価値を認識するかもしれない。
第2次トランプ政権が市場に与える最大の影響は経済政策を通じてである。 米国の保護主義政策がさらに厳しくなるのは間違いない。 トランプはすでに、米国へのすべての輸入品に10%の関税を課し(平均関税率は現在約2%)、おそらく中国からの輸入品にはさらに高い関税を課すと述べている。 これは、中国のような戦略的ライバルだけでなく、ヨーロッパやアジアにおける米国の同盟国(日本や韓国など)とも新たな貿易戦争を引き起こすであろう。
世界的な貿易戦争は成長を抑制し、インフレを上昇させる可能性があり、市場が今後数カ月間に考慮すべき最大の地政学リスクとなる。 このシナリオでは、脱グローバル化、デカップリング、断片化、保護主義、グローバルサプライチェーンの分断化、脱ドル化が、経済成長と金融市場にとってさらに大きなリスクとなるであろう。
トランプに関連するさらなるスタグフレーションリスクには、気候変動に対する否定的な姿勢や、パウエル米連邦準備制度理事会議長をよりハト派的で柔軟な人物に置き換えようとする可能性が含まれる。
トランプの財政政策は、すでに高すぎる財政赤字をさらに拡大させるであろう。
期限切れが迫っている減税は延長されるほか、防衛費や権利への支出も増加するであろう。 債券自警団が最終的にははるかに高い利回りで債券市場に衝撃を与えるリスクが高まる。 民間および公的債務が高水準で増加しており、そうなれば金融危機の恐れが生じるであろう。
言われているように、「問題は経済だ、バカ」。 トランプが提案する経済政策の課題は、今や世界中の経済と市場に対する最大の脅威となっている。
以上が、ルービニ教授の見解だが、トランプの経済政策が世界経済に打撃を与えれば、当然、雁字搦めに連結したグローバル経済であるから、ブーメラン効果で、MAGAのアメリカも返り血を浴びてダメッジを受ける。トランプ流の保護主義政策の拡大が、グローバル経済、ひいてはアメリカ経済を益々縮小させて行くのであるから、タダでさえ、疲弊弱体傾向にあるアメリカの国力の進行には益しないのは当然である。
私が最も心配をしているのは、確たる思想も哲学もなく、嘘八百、欺瞞塗れで、バイデンが論じているように、虎の子の自由と民主主義を叩き潰そうとしているトランプの叛逆的な政治思想の台頭で、先進的な欧米社会が営々として築き上げてきた貴重な民主主義と国際秩序を毀損してしまう可能性があることである。
尤も、バイデンの勝利で民主党政権が継続しても、現状維持が精々で国際情勢やグローバル経済が特に改善されるとは思えないし、
過去4年のトランプ治政でもそれ程激震があったわけでもなかったので、揺り戻し程度で治ると思うのだが、
国際情勢や地政学秩序が、独裁的専制体制に傾くのだけは回避して欲しいと願っている。
世界は戦争、大国間の緊張の高まり、その他の地政学的リスクに悩まされているが、これらの要因のほとんどは短期的には経済や市場の見通しに根本的な影響を与えていない。 しかし、11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが勝利し、米国が攻撃的な「米国第一主義」の姿勢に戻れば状況は変わる可能性がある。トランプが提案する経済政策の課題は、今や世界中の経済と市場に対する最大の脅威となっている。と言うのである。
国際情勢や地政学的リスクなどについて詳述しているのだが、要約すると、
ロシアとウクライナの戦争は相変わらず残忍であるが、その世界的な影響はより穏やかになる可能性が高い。 現在、NATO の直接関与やロシアによる戦術核兵器の使用のリスクは、戦争初期に比べて低下している。
イスラエル・ハマス戦争もこれまでのところ、地域的および世界的な経済的影響は限定的であるにすぎない。
米国と中国の間の冷戦、つまり戦略的競争は時間の経過とともに悪化し続ける可能性が高いが、今年は関係がそれほど悪化しない可能性がある。
台湾問題は今年後半に沸騰する可能性があるが、それが今年や来年に起こる可能性は低い。 中国の経済的弱さと脆弱さにより、米国や西側諸国との対立が薄れる可能性がある。
同時に、西側諸国のリスク回避、リショアリング、友好国ショアリング、商品、サービス、資本、技術の貿易制限は、短期的にはあまり強化されないであろう。 戦略的競争が管理され続ける限り、世界経済への影響は控えめなものとなろう。
成長と市場に対する最大の地政学リスクは米国選挙である。 しかしここで、トランプとバイデンが外交政策の優先事項のいくつかを共有していることを認識することが重要である。 民主党も共和党も同様に中国に対してタカ派であり、今後もそうである。
トランプとバイデンの最大の違いは、NATO、欧州、ロシア・ウクライナ紛争への問題である。 トランプがウクライナを放棄し、ロシアを戦争に勝たせるのではないかと心配する向きもあるが、中国に対してタカ派姿勢を維持する公算が大きいため、中国が(台湾に関して)ロシアにウクライナを占領させるシグナルを送ることを懸念する。 さらに、トランプが本当に望んでいるのは、欧州のNATO加盟国が防衛にもっと支出することで、 そうすれば、中国を抑止するためにアジアに軸足を置く同盟の価値を認識するかもしれない。
第2次トランプ政権が市場に与える最大の影響は経済政策を通じてである。 米国の保護主義政策がさらに厳しくなるのは間違いない。 トランプはすでに、米国へのすべての輸入品に10%の関税を課し(平均関税率は現在約2%)、おそらく中国からの輸入品にはさらに高い関税を課すと述べている。 これは、中国のような戦略的ライバルだけでなく、ヨーロッパやアジアにおける米国の同盟国(日本や韓国など)とも新たな貿易戦争を引き起こすであろう。
世界的な貿易戦争は成長を抑制し、インフレを上昇させる可能性があり、市場が今後数カ月間に考慮すべき最大の地政学リスクとなる。 このシナリオでは、脱グローバル化、デカップリング、断片化、保護主義、グローバルサプライチェーンの分断化、脱ドル化が、経済成長と金融市場にとってさらに大きなリスクとなるであろう。
トランプに関連するさらなるスタグフレーションリスクには、気候変動に対する否定的な姿勢や、パウエル米連邦準備制度理事会議長をよりハト派的で柔軟な人物に置き換えようとする可能性が含まれる。
トランプの財政政策は、すでに高すぎる財政赤字をさらに拡大させるであろう。
期限切れが迫っている減税は延長されるほか、防衛費や権利への支出も増加するであろう。 債券自警団が最終的にははるかに高い利回りで債券市場に衝撃を与えるリスクが高まる。 民間および公的債務が高水準で増加しており、そうなれば金融危機の恐れが生じるであろう。
言われているように、「問題は経済だ、バカ」。 トランプが提案する経済政策の課題は、今や世界中の経済と市場に対する最大の脅威となっている。
以上が、ルービニ教授の見解だが、トランプの経済政策が世界経済に打撃を与えれば、当然、雁字搦めに連結したグローバル経済であるから、ブーメラン効果で、MAGAのアメリカも返り血を浴びてダメッジを受ける。トランプ流の保護主義政策の拡大が、グローバル経済、ひいてはアメリカ経済を益々縮小させて行くのであるから、タダでさえ、疲弊弱体傾向にあるアメリカの国力の進行には益しないのは当然である。
私が最も心配をしているのは、確たる思想も哲学もなく、嘘八百、欺瞞塗れで、バイデンが論じているように、虎の子の自由と民主主義を叩き潰そうとしているトランプの叛逆的な政治思想の台頭で、先進的な欧米社会が営々として築き上げてきた貴重な民主主義と国際秩序を毀損してしまう可能性があることである。
尤も、バイデンの勝利で民主党政権が継続しても、現状維持が精々で国際情勢やグローバル経済が特に改善されるとは思えないし、
過去4年のトランプ治政でもそれ程激震があったわけでもなかったので、揺り戻し程度で治ると思うのだが、
国際情勢や地政学秩序が、独裁的専制体制に傾くのだけは回避して欲しいと願っている。