熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

トランプは事件後も変わっていない

2024年07月19日 | 政治・経済・社会
   ロイターが、電子版で、「トランプ氏、指名受諾演説で暗殺未遂語る 当初の融和色は雲散霧消」と報じた。

   トランプは、。指名受諾演説を行い、自身が負傷した暗殺未遂事件について語り、「全能の神のご加護」のおかげでこの場にいると強調して、演説の冒頭でいつもの攻撃的な姿勢を抑え、融和色を前面に出した。 
   しかし、その後はいつもの激しい口調で、国を「破壊」しているとしてバイデン現政権を批判。自身が起訴されているのは民主党の陰謀の一環だと根拠なく主張し、民主党のバイデン大統領が「第3次世界大戦」を引き起こすとしたほか、南部国境を移民が越えてくることを「侵略」だと表現した。 当初の融和色は雲散霧消し、いつものように大げさな表現と不平不満を織り交ぜ、民主党が2020年の大統領選を盗んだという虚偽主張を繰り返した。また、自分だけがこの国を確実な破滅から救うことができると主張。「私なら電話一本で戦争を止めることができる」と語った。というのである。

   九死に一生を得た奇跡的な経験をしたので、人生観なり主義信条が変わるのを期待していたのだが無駄であった。

   トランプのもしトラが実現した時の経済政策については、先日スティグリッツ教授の見解「トランプよりバイデン、米国経済にとってどちらがよいか議論の余地なし 」を紹介して、経済実績も政策も、悪化すると説明した。
   このブログで、トランプ批判を繰り返してきたので、蛇足は避けるが、多少、経済政策につて触れてみたい。
   このあたりのトランプ政策を、NHK記事から引用すると、
   共和党の政策綱領案には「アメリカ第1主義:常識への回帰」と記され、アメリカのメディアはトランプ前大統領が草案の一部を書いたと伝えています。このうち、インフレ対策はエネルギー生産の規制撤廃や政府支出の削減などで、好転させるとしているほか、移民政策では、国境沿いの壁を建設するなど、対策を強化するとしています。 「アメリカ第1主義」の経済政策を支持し、中国をめぐっては、貿易上の優遇措置などを講じる「最恵国待遇」を撤回するとしています。外交政策では、同盟国が防衛への投資義務を果たすことなどで関係を強化するほか、インド太平洋地域では平和と通商の繁栄を目指すとしています。 

   要を得た解説だとは思えないが、まず第一に、「アメリカ第一主義」と「MAGA」とは、かなり矛盾する概念である。たとえば、中国を締め出し、保護貿易主義に徹して世界市場から距離を置くことは、アメリカ市場そのものを縮小して、革新の芽を摘み、アメリカ経済の成長発展を犠牲にすることになる。移民抑制排斥も、頭脳の流入を妨げ知的新陳代謝を害する。「MAGA」に逆行するのである。
   それに、 「アメリカ第一」のために、アメリカを猛追する中国をターゲットにして排斥隔離政策を取ろうとしているが、諸般の事情で経済的覇権は握られなくても、グローバリゼーションに背を向けている限り、国際競争力を失った製造業の再興など望み薄だし、科学技術等先端分野ではキャッチアップされるのは時間の問題であり、 ファーストは維持できるとは思えない。歴史の趨勢を見れば明らかである。
   政府支出の削減については、小さい政府を主張する保守党の基本姿勢だが、養育や学術分野での削減は死活問題であり、それに、老朽化して崩壊の危機にある多くのインフラストラクチャの存在は、アメリカの経済体制や社会構造、将来の成長発展そのものの足かせとなりかねない。
   トランプは、最早インセンティブにさえなり得ない富者強者への減税政策を実施して国家財政を悪化させよう。健全な中産階級の育成など眼中になければ、弱者救済の確たる処方箋も示していない。益々、格差の拡大を促すことになる。

   勿論、経済は生き物なので、実際にはどうなるかわからないが、唯一の機関車がエンストを起こすと大変なことになる。
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