熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ソニーの戦略ミス(?)・・・大前研一

2006年07月29日 | 経営・ビジネス
   e-Japan2006の大前研一氏の講演の中で、ソニーの戦略の誤りについて触れた部分があるのでこれについて考えてみたい。
   ソニーは、クリステンセンの指摘するようなイノベーションを忘れたソニーではなく、破壊的イノベーションを行っているのだが、経営の戦略のなさと無能さ故にビジネスチャンスを失っていると言うことらしいのである。

   今、本来チケット代わりに使われ始めたプリペイド型電子マネーのJR東日本のSuica(Super Urban Intelligent Card)が脚光を浴びて色々な分野に使われている。
   コンビニ、NTTドコモ、KDDI。ヤフーと提携して2007年にはネットショッピングにも使われ、横浜銀行と提携してキャッシュカードとしても使われる。

   このカードは、ソニーの「フェリカCプラス」の技術によって生まれたカードで、ソニーが「次のフォーマットとして皆様全員に提供するのはこれです」と言って汎用カードとして戦略を打っておれば、ネットワークとサイバー経済を揺るがす程の事業機会を得ていたのに、部品として捉えたばかりにタダのベンダーに成り下がってしまっていると言うのである。
   これと共通する高速道路の料金所に使われているETCであるが、無線で飛ばす以外はSuicaと全く同じで、携帯電話にこのETCカードの機能を繰り込めば、これを自動車のフロントに入れて走るだけでゲートも駐車場の料金も自動的に精算されるのみならず、情報を集積すれば道路の利用状況等大切な交通情報まで収集できて行政に活用さえ出来ると言うのである。
   ソニーの開発したEdyは、ユーロ、ドル、円を凌ぐ通貨とする為に編み出されたものなのだが、これも同じ様に、ANA等細々使われるだけ。
   とにかく、少しづつ活用範囲は広がっているが、膨大な卓越した機能を持ったカードシステムを生み出しながら、行き当たりばったりの便利機能を活用するだけで終わっているとするならば極めて惜しいことだが、それだけ,活用次第ではビジネスチャンスがあると言うことであろう。

   もう一つ、大前研一氏の指摘で面白いのは、光ネットワークのブロードバンド時代で、総て、オンデマンドでデータがキャッチできる現在、ブルーレイ対HD-DVDの戦いなどナンセンスで、ブルーレイを組み込んだソニーのPC-3など、発売と同時に孤児となると言うのである。
   ハイビジョンで見たいのは、「風と共に去りぬ」くらいで、24ギガバイトの大容量など必要なく、後は、ダウンロードではなくオンデマンドで十分だと言うのである。
   確かに、私の場合は、NHKやWOWWOWから映画やクラシック番組、文化教養番組等積極的に録画しているが、オンデマンドで何でも好きな時に観たり聴いたり出来るのなら録画などする必要がなく、助かる。
   しかし、そんなにすぐに便利になるようにも思えないので、やはり、ブルーレイやHD-DVDの帰趨が気になるのが正直なところである。

   大前研一氏の指摘は非常に重要で、ソニーは、コンシューマーエレクトロニクスを中心としたメーカーだが、生み出そうとする卓越した製品がどのような未来を志向すべきなのか。
   クリステンセンの言う持続的イノベーションを得意とするソニーのような技術水準の高い会社は、顧客の需要を遥かに飛び越えた高い品質の製品を生み出す高飛び傾向があるが、予想だにしない突拍子もない使い方をされる場合もあるので、その行く先を、そして、十分に、経済社会と科学技術の動向を見極めないと戦略を誤り経営資源の浪費となる。
    
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