熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

感動的な大長江の影像・・・ニコン竹田武史写真展

2006年01月30日 | 展覧会・展示会
   銀座のニコンサロンで、写真家竹田武史氏の「大長江~悠久の大河6300キロの旅」写真展が開かれている。
   同志社大で神学を学んだ31歳の若い写真家で、オーストラリアを放浪の旅をして感激したと言う。
日中共同研究プロジェクトで「長江文明の探求」の記録カメラマンとして参画し、語学研修のため貴州大に留学して、その後、長江全域の写真を撮り続けていると言う。

   源流から河口近くまで、何点か長江の写真はあるが、大半は、6300キロに亘る流域に住む人々の生活と風物・風景写真で、私などの知らない長江流域の姿が生々しく活写されている美しい写真には感動を覚える。
   ヒマラヤに源流を持つ長江は、まず、チベットを通過するので、5100メートルの高地に住むチベットの人々の生活を写している。

   この口絵の写真は、シャングリラ「素晴しい理想郷」と言う題名で、高原の寺院に光臨した活仏に会いに行く為に正装してイソイソト出かける女達の描写で、高山植物の咲く野を真っ青な高原の峰峰をバックにした実に美しい写真である。
   宗教と生活が一体になったチベット人の生活、このアニミズムに近いヤオヨロズが総て神である人々の生活を、実に優しく愛情を込めて描写している。
   大学で神学、それも一神教の峻厳なキリスト教と対峙しての勉強であった所為なのか、或いは、竹田氏自身のパーソナリティなのか分からないが、どの写真も素晴しく自然でそれに生活と文化が滲み出ている。
   竹田氏も言っているが、このチベットの人々の写真を見ていて、30年以上も前に、ボリビアやペルーのアンデスを歩いていた時に接したインディオの姿とそっくりなのでビックリした。
   アジアのモンゴロイド族が、ベーリング海を越えて、アラスカ、ロッキー、パナマ地峡を越えて、アンデスまでやって来て永住したことが痛いほど良く分かる。

   桃源郷に住む苗族などの少数民族やその生活の描写がまた素晴しい。
   幾重にも重なる緑滴る棚田、田園生活。
   三峡のダム建設、水郷地区の漢民族の生活、甍重なる中国の街並み、このあたりになると懐かしいおなじみの風景が展開されるが、文明の波で消えて行く運命にあり、探すのが大変だったと言う。
   超近代的な上海の描写が一寸異質だが、とにかく、大長江6300キロとは、大変な人類の文化圏を形成していることが良く分かる。

   もう随分前になるが、上海に行って、長江、即ち、揚子江の河口に出たが、全く海で河ではなかった。
   ブラジルのベレン、マナウスでアマゾンを見たが、この時も、対岸など見えなかったが、島国日本に住んでいると河まで、自分で決め込む悪い癖が出る。
   撮ったフィルムが1500本、膨大な写真の中から選んだ大長江の写真だが、同時に発売されている竹田氏の「大長江~アジアの原風景を求めて」と言う写真本が素晴しい。
この写真展に出品されている作品の多くが収録されている。
   NIKON F100で撮った写真が大半だと言うが、私のF100は、一寸かわいそうだと思ってしまった。
   
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