とりあえずこのブログでの台湾一周の旅は終わりですが、番外編として刻々と変わりゆく台湾の鉄道の濃いぃ側面をいくつかご紹介することにします (まだやるのかよ……という声が聞こえてきそうですが ^^;)。
まずはこちら。日本では本当に希少価値になってしまった釣掛式高速電車が台湾ではこれからもまだまだ楽しめる、という話題です。
台湾鉄路局では「1990年代に入って既に台湾も先進国並みに生活水準が上がっているのに、いい加減普通列車に非冷房車しか走っていないのは如何なものか」という声の高まりをうけて (?)、90年代以降続々と空調完備の新型電車を投入し続けているのですが、その第1陣として90年代前半に登場したこの電車=EMU400型は何と釣掛式電車なのです!
すると今度は、日本の「常識」に照らして「90年代になっても釣掛式電車とはどうよ?」という疑問が湧いてくるわけですが、この電車は南アフリカ製で、南アフリカといえば鉄道技術面でも多分かつて植民地として支配していた英国の影響を受けていると思われますので、それでつい最近まで釣掛式にこだわりつづけた英国 (ロンドンに行くと今でもほとんどの電車が釣掛なのでびっくりします。釣掛式電車大好き人間にとってパラダイスです ^^) と同じように、当たり前のように釣掛式電車を作ったということなのでしょう。英国流合理主義に即していえば「技術的に安定した釣掛式で何が悪い、歯車のかみ合わせさえうまく調整すれば音も割と静かで良いんじゃないの」という答えが返ってきそうです。(^^;)
まあいずれにせよ、台湾は国産客車のほか、日本・韓国・英国・イタリア・南アフリカ・インド・アメリカ、といったいろいろな国から車両を購入しているので、あちこちの流儀を楽しめるという妙味があります。
ちなみにこの電車、現在は基隆~台北~新竹間の台北首都圏で運用に入っていますが、韓国製のVVVF電車であるEMU500・600型が3扉なのに比べるとどうしても混雑対応能力が弱そうなのは否めませんので、そのうち宜蘭線あたりに転属になってしまいそうだ……と予想。
あと、台北近郊でも大部分の普通電車は韓国製VVVFですので、この釣掛式電車が来たらラッキー!と考えた方がよさそうです。但し、パンタグラフがくっついているから電動車だと早合点されませんよう。パンタグラフがある中間車は「Power Car」=電源つき付随車に過ぎず、先頭車が電動車です。(90年代に何度かこの電車に乗ったときはそのことに気づかず、中間車に乗って「随分静かなカルダン駆動だな」と思い切り勘違いしていました。^^;;;;;)