枋寮駅を発車して大きくカーブを描く南廻線普快車を激写して、台東へと走り去って行くのを見送ろうとしたところ……ををっ、後ろ姿も最高に素晴らしい!! というわけで、スハ44風のSP32700を最後尾とする藍色の編成美を改めて激写!! バックに写る建物の雰囲気と相まって、本当に台湾鉄路の原風景という1枚に仕上がりました……(*^^*)。
その後はいったん高雄に戻って屋台に浸ったのち (爆)、翌日 (3日目)はいよいよ南廻線・東部幹線を経て台北に向かう長い旅路が始まります。そこでまずは屏東線の区間車(復興号客車)で枋寮に向かいますと、この日最大のお楽しみ・南廻線普快車353次が目の前に停車していました! この列車に乗るためには、それこそ枋寮で1泊するか、高雄や屏東で早起きして始発の区間車で来るしかありませんので、基本的には観光客の利用は全く想定されておらず、ただでさえ人口密度が低い沿線住民も、朝と午後に1本ずつしかない普快車を使うよりも、クルマを使うか路線バスを使う方が全然便利……というわけで、4両編成は超ガラガラ (汗)。数少ない乗客はといえば、もっぱら途中駅・信号所の交代要員や、台湾人・日本人の「鉄」、そしてたまたま列車の時間と自分の予定が合っている地元客……という程度です。
そこで、どの車両に乗ろうか……と品定めをしてみたのですが、最後尾に1両だけ連結されていたスハ44風・SP32700は……何故か車内の化粧板が彩度の高い青に塗られていてキモいだけでなく (-_-;)、台湾人「鉄」のオッサン2人組のヲ○な会話が相当やかましいため諦め (-_-;;)、インド製セミクロス客車TP32200のうち前から3両目に乗ることにしました (前の方に乗りますと、長大トンネル内ではR20形DLの激爆エンジン音で鼓膜が破れそうになる……と思いまして。前回の台湾一周時にはエラい目に遭いました ^^;)。
そして7時24分、3号車に乗務してドア横のスイッチを操作する車掌氏の「353次、開車オーライ!」(「オーライ」は日本植民地時代と同じ……?!) という合図とともに出発です!
枋寮を発車して間もなく鉄橋を渡りますと、それまでの屏東線ののどか~な沿線とは違って、次第に「左は山、右は海」という雰囲気に変わって行きます。一応、南台湾の中でも最も温暖な場所ですから、風景は3月の頭でも緑が多いのですが、窓から吹き込む風はかなりひんやり。やはり南国でも辛うじて春があるということでしょうか。カーブを描いた無人駅・内獅 (次回はこの駅で藍色客車を撮りたい……と思うほどの侘び寂びな駅) を発車したあと、列車はグイグイと高度を上げ、台湾海峡の絶景に「うひょー!」と思わず大喜びしていますと、間もなく枋山駅に到着。開業当初は立派な駅だったようですが、集落から離れすぎて客はなく、広い構内は単線のみ……。
枋山からはいよいよ、台湾を東西に分ける大山脈の最南端をトンネルと切り通しで越えて行きます。しかも、山の季節はまさに新緑が萌え始める頃! 窓から顔を出してみますと (^^;)、若葉と藍色の車体のコントラストが目にしみます (^^)。やがて列車はスピードを落として、山間の秘境にたたずむ枋野号誌所 (信号所) に到着! ホームはありませんがドア操作が行われ、交代要員氏の乗降があります。澄み切った空気の中、鳥のさえずりのみが聞こえ……素晴らしい!のひとことです。ここは南廻線で最も撮り鉄しやすい場所でもあり、台湾の撮り鉄のあいだでも、悪路を車で乗りつけて (?) ここで撮影する人は少なくない模様……。というわけで、私も下車して撮り鉄したいんですけど……ダメ? (^^;)。そうこうしているうちに、枋寮行の普快352次が到着しまして、最後尾のデッキから離合シーンを激写しました!! (^_^)v
枋野号誌所からは、途中「中央号誌所」を挟んで延々と長大トンネルが続き、車内にはひたすらDLの激爆音が響き渡ります。これも東海岸に達するための通過儀礼……ということで必死に耐え (^^;)、やがて列車は古荘に到着! チラリと見える海に思わず「太平洋!」と叫んでしまいそうになります! ここからは太麻里あたりまで、時折トンネルを挟みつつ、左は険しい山々、右は見渡す限りのエメラルドの海!という絶景となり、まさに南廻線の旅のハイライト (^O^)。タタタン!と軽快にかっ飛ばす藍色客車の窓越しに、全身で南廻線の風景を感じる……これだから台湾の鉄道の旅はやめられません。
太麻里からは徐々に平地も増えて、台東近郊の南国の田舎という風情の中を引き続き飛ばして行きます。温泉で知られる知本 (10年前に行ったことがあります。マジで肌スベスベ!) を過ぎ、康楽で高雄方面行のキョ光と交換したあとは、ついに終点の台東に到着! 客車区へと引き上げて行く藍色客車を見送りながら、約2時間の旅にしては余りにも濃いぃひとときの余韻に浸ったのでした……。