先日、鶴丸航空から一通の封書が。「もしや……ジャカルタ便利用経験者を対象に、去る7月末までの期間限定で成田空港のラウンジを利用出来る云々とまた同じ趣旨ではないか? 人が仕事で旅行できない時期限定でそういうサービスをするのは止めてくれよ……」と思いつつ封を切ってみたところ、今度は3月末までの期間限定でジャカルタ・ハノイ・マニラ便のマイルを倍にし、かつラウンジも利用OKという太っ腹な内容。与党お気に入りの青い航空に対して、羽田の便数で割を食らっている鶴丸航空は大変だのぅ……3月末までなら時間を確保出来なくもないので、出来れば私も恩恵に与りたいものだ、と思ったのですが、3月のジャカルタはまだ雨季ですし、今度もまたバンコクとヤンゴンか?という腹づもりでおりましたので (ハノイとマニラも行きたいのですが……)、「あちゃー!」という気分です。バンコク便ではこんな優遇やってくれないよなぁ……。
というわけで、インドネシアネタの続きです。インドネシア鉄道ではジャカルタの電車運行のほとんどを日本中古冷房車でまかないつつ、同時に将来を見据えて国産冷房車KFWを細々と走らせているところですが、その陰で昨年7月を以て非冷房電車の運用が消滅し、大部分の車両がプルワカルタで巨大山脈をなすに至ってしまった……ということについては既にレポートした通りです。しかし、明らかにステンレス鋼体がまだまだ新しいINKA製VVVF車のHolecは、故障が多かった下回りはさておき、そのまま全て捨てるのは余りにも勿体ないと思うわけで……。実際インドネシア運輸省としても、常に潤沢に日本中古が手に入るとは限らない中、車両事情逼迫を防ぎつつ国産電車の存在感を保とうと思ったのでしょうか、Holecの一部を遠路はるばる東ジャワのマディウンにあるINKA工場に送り、ウリナラ○進産電とのタイアップにより、下回り全交換&マスク新造のうえ冷房電車として再生させました。それがHolec AC!!
個人的には、Holec AC誕生の報せを眼にした瞬間、「宇○産電のVVVF電装技術は日本メーカーのライセンス生産であるとはいえ、そこはウリナラ。台湾をはじめ各国で、アフターケアの何たるかを心得ないケンチャナヨ精神を発揮したことからして、インドネシアでもウリナラ国内事業者に納入した電装品とは比較にならないぐらいケンチャナヨで済ませるに違いねーな」と即座に思いました (爆)。しかし一方でHolecそのものは、2009年の初訪問時の「ギョロ目デザインなマスクが恐ぇぇ!」という印象もどこへやら、どれほど屋根に人を満載してもあくまで上品なVVVF音で健闘する姿に「お前も頑張れよ……」という情を寄せるようになっていました。というわけで、そんなHolecが、いくらウリナラ技術によるとはいえ、精悍なマスクと美しい塗装をまとって再登場し、しかもクーラーまで乗せて重厚な雰囲気すら漂わせていることから、思わず「スゲェ格好良い!早く乗って撮りたい! 何時また壊れるか分かんねぇーし……(笑)」と思ったのでありました。
その後、Holec ACが営業運転に入るまでは、やはり激しい紆余曲折があったようで、「やっぱ一度も客を載せずに失敗作で終わるのか? さすがウリナラ……」と思ったものですが、8月の訪問に先立つ初夏、ついに3編成がフル運用に入り、タンゲラン線がHolec ACの牙城になったとの報せに「まぁタンゲラン線なら平坦区間を淡々と飛ばすだけなので、Holec ACにとっても負担にはなるまい。よ~し俺様もドゥリ駅で撮りまくっちゃうぞ!」と盛り上がらずにはいられなかったのでした (^^;)。
そして8月の訪問時、いざドゥリ駅へ……。と思ったら、あれれ?タンゲラン線運用に入っていたのは東急8000やらJR203やら……。それはそれで最高に嬉しいのですが、とりあえずHolec AC目当てでタンゲラン線に狙いを定めた私としては激しく肩透かしを食らったのでした。まさか……3編成同時検査なんていうことがあるはずない……。
と思ったら、ようやく第2編成登場!\(^O^)/ いや~待ってましたこの時を! そして車内へ踏み込んでみますと、戸袋部分が車内に突き出た構造はそのままに(→椅子がズレてます)、明るく清潔な車内にクーラーキンキン♪ そして、昔ながらのフォントで記された「Berbahaya!」「Jagalah Kebersihan」といった掲示は、日本中古電車にはない「インドネシアのこころ」をビンビンに感じさせます♪ そして肝心の走行音は……やや高音に振れながらも基本的には静穏で力強く、大して揺れもせず快調にタンゲラン線の直線を飛ばしておりました♪ うーむ、順調に走れば悪くない電車ではないか。かつてのジャカルタの電車シーンを今に伝える存在として、宇進だろうが何だろうが是非頑張って欲しいものよぅ……と思わずにはいられないのでした。
ところが、いざタンゲラン駅に着いてみますと、Holecの第三編成が完全にパンタを降ろし、一部の窓が開きっぱなし、前後のレールが錆び錆び……な状態で放置中……。どうやら壊れてしまったようです。そして、訪問時に見かけなかった第一編成は、マンガライの客車放置会場の奥深くでジャングルまみれになっていたことが、後にパクアン急行様のブログで判明……。そして間もなくこの第二編成も不調で離脱してしまったということで、何とHolec ACがまともに運用に入っていたのは約2ヶ月前後という惨憺ぶり……(滝汗)。そんな僅かな期間の間にHolec ACを楽しむことが出来たことを心の底からラッキーだと思うと同時に、さすが儒教原理主義国家ウリナラ……「格下の国」に納入した製品へのケンチャナヨなアフターサービスぶりはいつも通りで、黒い期待を裏切らないぜ!と痛感させられたのでした……。しかしこの車体には罪はないわけで、いずれは中部ジャワやバンドゥンの電化開業時に、別の電装品で復活することを願ってやみません。まぁ、別の電装品への換装といえば、徐々に離脱車が増えている都営や東急でやって頂きたいところですが……。