地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

臺灣鐵路列車時刻表創刊記念・DR3000

2015-12-24 12:00:00 | 台湾の鉄道


 かねてから台湾では、台鉄が時刻表として『旅客列車時刻手冊』を発行し(ここ数年は子会社が『旅行台湾護照[台湾旅行パスポート]』と称して刊行していたはず)、手のひらサイズというかスリムな手帳サイズの薄い冊子は、携行するには非常に便利でありました。あるいは、台鉄公式HPから、全列車の時刻をダウンロードすることも可能! しかし、座席指定の優等列車(対号快車)と完全自由席のローカル列車では掲載頁が異なっており、相互の乗り継ぎ、あるいは乗り撮り鉄プランの立案の際には非常に面倒臭い……。そんな問題を解決するため、日本の某趣味団体が「日式」と称して独自の時刻表を刊行してきましたが、これはすごく薄いのに高いということで、個人的には全く触手が伸びず……。
 そんな中、去る10月15日の屏東線・潮州電化完成に伴う台鉄全面ダイヤ改正に合わせて、完全に台湾独自の「日式」時刻表として『台湾鉄路列車時刻表』が創刊されました!! そしてこのたび、神保町の書泉に入荷し平積みとなっていましたので、早速ゲット♪ (定価と比べるとやけに輸入業者がボッているのでしょうけど)



 まず表紙は、蘇花公路の断崖絶壁をバックに新自強プユマ号が快走するシーンが印象的ですし、何と言っても「全国版」と銘打っているあたりにシビれます (要は、中国なんてただの外国に過ぎないという強烈なメッセージ♪ 中国の時刻表に、わざわざ台湾の鉄道網が描かれているのは、彼らの大中華主義のタテマエ上やむを得ないことであるとはいえ、如何に無意味なものに過ぎないか、ということです)。そして巻頭言は、台湾の生活文化と歴史の記憶に根ざした鉄道旅行の喜びが美しい文体で綴られており (中文ですが)、一度でも台鉄の旅を味わったことがある人がこの文章を読めば、美麗なる島国台湾を快走する列車、めくるめく緑の大地、そして華やかながらもしっとりとした街を、瞼の裏に熱く描くことが出来るのです……。そう、美しい写真も織り込んだ全面カラー印刷によるこの時刻表は、それ自体が熱烈な台湾への愛、台湾ナショナリズムの現れなのです。そして「台日同一駅名一覧表」なるものが載っており、折り込み地図の裏が日本語版であったりする(!)あたりも、台湾の鉄道文化が日本との連続のもとにあり、中国とは全く関係ない、という意思表示であり、最近相次ぐ台鉄と日本の複数の鉄道会社による友好提携という方向性とも合致しているのです。

 そんな『台湾鉄路時刻表』の創刊号における最大の目玉は、もちろん屏東線の電化区間延伸であるわけですが、その結果、非電化で残った潮州~枋寮間につきましては、基本的にDR2900・DR3000の3連による区間運行となっているようです。復興号客車の区間車運用は、台東直通や朝夕ラッシュ時のごく僅かなものとなり、しかも早朝の台東行き鈍行は高雄発ではなく潮州発となったのが痛い……(高雄発朝一番の自強に乗れば、潮州にて数分連絡で乗れますが、車内でちゃんと補票割り増し [5割!] 無しで区間車の切符を売ってくれるのだろうか……? 潮州に旅社レベルを上回るキレイな宿屋があるとは余り思えませんので、始発にこだわって潮州から乗るのでなければ、先に自強で林辺や枋寮まで行っておくのが無難かも)。いっぽう見方を変えると、この区間車はまさに日本の特急車間合いローカル運用と同じく、デラックスな車両に激安で乗れることを意味しているわけで (まぁそもそも自強運賃も日本から見れば超格安なのですが……)、午前10・11時に潮州を発車する列車など、誰も乗っていなさそうな極楽ぶりです……(いっぽう朝夕の通学時間帯は、○キがやかましいという日本と全く同じ問題がありますのでオススメできません)。
 というわけで、そんなDR2900/3000の画像をアップしておきますが、屏東線でのんびり・まったりとこれらのシーンを撮ったのは7年9ヶ月前……(遠い目)。最近開業した高雄ライトレールと合わせて、もうほとんど景色は東南アジアな高屏地区で、久しぶりに美味いメシとともにまったりしたいのですが……(鉄ヲタついでに総統選バトル見物とかも面白そうなんだけどなぁ~、とヤル気満々でプランニングし、航空券の予約寸前まで行っていたものの、期限を厳しく区切られた断れない仕事が入って敢えなく中止……T_T)。