地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第四ヤンゴン熱鉄記 (4) 広電772走る

2016-03-30 12:00:00 | ミャンマーの鉄道


 大英帝国的景観。人力車カブリで (泣) 急遽アングル変更……。



 曇り&交通量偶然少なめで、車道から激写しまくり!



 臨港線最大の名所 (迷所?)・料金所ゲートを通過!



 速攻連写。最も形式写真っぽく撮影出来たのがこのカット。

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 緬泰両国から帰国して約2週間になるものの、未だヤンゴン鉄事情の激変に興奮冷めやらぬ今日この頃ですが、環状線におけるキハ181の運行終了・キハ40系列の激増と並んで刮目せずにはいられなかったのは、日本でも報道番組などで大いに (?) 話題となった臨港線の電化と広電の運行開始であります。
 しかしそもそも臨港線は、ヤンゴンのダウンタウンにおける人の流動とはほとんど関係ない、ヤンゴン川沿いのまさに臨港地帯を走っているわけで、三陸鉄道のRBE3001/3002を当初約1時間間隔の出血大サービスで運行しても結局開業直後の物見遊山時期が終わればスカスカとなってしまった以上、わざわざ巨費を投じて電化するなどということは全くの時間と金のムダであります (キッパリ)。そこを敢えて電化し、しかも広電の中古釣掛車 (元大阪市電の772改めTCE701に至っては車齢66年!) を走らせるというのは、単純に見れば全く市場原理と関係ありません。「この電車が走ることで、急激に厳しさを増すヤンゴンの交通渋滞を緩和し、市民の足として大いに活躍することが期待されます」などというニュースのコメントは、実際の臨港線の雰囲気をつぶさにフィールドワークしていない空虚な美辞麗句に過ぎないのです。
 したがってこの臨港線電化のココロは……ミャンマー国鉄が電気式DLではなく実際の電車の何たるかに慣れ、将来の環状線電化 (またはハイブリッドDC運行?) や地下鉄建設に備えるための、一種の教習施設であり、純粋に日本政府からのプレゼントであるとしか解釈しようがありません。そして、だからこそこの臨港線電化には、通常の鉄道を超越した最高にマニアックな香りが漂っているのです……。
 というわけで、今回の2.75日にわたるヤンゴンでの鉄活動のうち、2日間の朝を臨港線に捧げましたが、その一因は……暑季のくせにやたらと蒸し暑く曇った朝が2日続いてしまったからでもあります (苦笑)。ドピーカンであれば、道路の南側を走る臨港線の撮影アングルはかなり限られ、それよりは環状線の列車を撮った方が圧倒的に楽しいのですが、曇った以上は臨港線に行ってやるぞということで……。
 そしてやって来たのは、連接車のTCE3001 or 3002ではなく、単行のTCE701! ホント、まさか昭和20年代に大阪で生まれた電車が、約70年を経て遠くヤンゴンの地でデビューするとは、全く考えられなかったことでしょう……。事実は小説よりも奇なり。