地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第八ジャカルタ炎鉄録 (16) 特急ブロモ山の蘭

2017-01-04 12:00:00 | インドネシアの鉄道


 鉄道事情が激しく移り変わるという点では、インドネシアも負けてはいません。いつもお世話になっておりますパクアン急行様のブログを日々拝見するにつけ、昨年末にはついに、メトロ6000の追加分に車庫のスペースを譲るための廃回が再開され、既に103系は全車チカウムの塚となってしまったという……。一方、205系が次々に12連化されたのは、既に8月の訪問時に目にしておりましたが、さらに203系の12連が出現したとは! この勢いで行きますと、東急の12連が出現しても全くおかしくありません (@o@)。
 そしてさらなる巨大な変化を告げるものとして、昨年末にはジャカルタ~スラバヤ間の1067mmゲージによる準高速化について、日本に協力を求める旨が『日経新聞』の片隅に小さく載っておりました。そこで『じゃかるた新聞』に載っている詳細な記事を見てみますと、既にインドネシア側が日本に協力を求めているのを受けて、日本側としては既にインドネシア側に対して選択肢を示しており、国交相のインドネシア訪問で現地の雰囲気を感じ取った上で日本側としても本格的に動く方向なのだとか。



 まぁ日本側の姿勢が必ずしも前のめりと読み取れないのは、例の新幹線問題の後腐れが続いているためだとも思われるのですが、インドネシアで鉄ヲタ活動をしたことがある者としては、このままインドネシア側の日本に対する期待が持続し、実際に事業化されることを願ってやみません。新幹線問題の二の舞を恐れて、インドネシアとの関係で何事も過度に慎重になることは、それこそKCIC (Kereta Cepat Indonesia China) そのものの利益をはるかに上回る中共の思う壺なのですから。

 ……と思ったのは、昨年の大晦日にこの記事の下書きをした時点までの話 (汗)。昨日の『日経新聞』に載っていた詳細裏事情によりますと、インドネシア側で昨年夏に運輸大臣が変わって以来、この高速化構想について次から次へと超お手盛りなイケイケドンドンの要望 (いや願望??) が続いており、当初はCC206の最高160km/hなポテンシャルを活かした非電化のままの高速化であったはずが、いつの間にか全線電化・車両全面EC・EL化計画に置き換わっているばかりか、資金調達面でもKCICと同じく民間資金を広く募り、インドネシア政府による債務保証は回避したいという方針とのこと……。しかしKCICは、ジョコウィ臨席の起工式から相当の時間が経ってもロクに工事を開始できていないことからして、日本側は「ジョコウィ政権は盛るだけ盛ってそんな逃げ腰ではどうなることやら」とハラハラしているようです……。そこで、まさかこの計画も挫折して、バンドゥンとスラバヤのどちらに行くにも従来通り客レか高速バス (そしてスラバヤは飛行機) ということになりはしまいか、とも思います (滝汗)。要は、ジョコウィ政権が短期的視野しか持っておらず、インフラの要不要を見極めて責任を取る度胸がないのが最大の問題なのではないか……と。
 これも何だかんだで中共に貢がせることになり、大連や長春あたりで作った直流電機や電車が大量に揃い (これもまぁ満洲国の遠い遺産か?)、その後インドネシアがナトゥナ諸島で中国船を爆破しまくって、中・印尼関係悪化、インドネシアがインフラもらい逃げ、という順序をたどりそうな気もしてきました (滝汗)。

 というわけで、現在ジャカルタとスラバヤの間を最速で結び、KAIにおける栄光の「1レ・2レ」を名乗っている「Argo Bromo Anggrek」を貼ることにします。
 この列車は専用の台形ボディ客車を使用しており、計り知れない存在感を放っておりますが、一時期台枠か何かに問題が生じて全車離脱したのも今は昔。全車塗装変更と内装リニューアルが終了し、相変わらずKAIの王者として君臨しています。ジャカルタ~スラバヤ間を160km/h・5時間で結ぶ工事が、かりに当初計画通り2019年に完成しますと、自ずとこの客車も第一線を退くことになるのでしょうか? あるいは、この分で行くと何も高速化が進まないような気もしますので、むしろこの客レ特急も長く続くことを前提として、最新鋭の2016年バージョン客車に置き換えた方が良いような気もしますが……。
 ちなみに2枚目の画像は、客車が新塗装化されながらCC206が登場時の黒スカートのままであったという、一昨年8月撮影のカットです。今思えば、何気に激レアな過渡期シーンです……(^^;)。