地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第八ジャカルタ炎鉄録 (29) 近距離PC特急

2017-08-10 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 一昨年の今頃ジャカルタを訪問した際、落花生。様とスナヤンで開催中の「中国高速鉄道展」に潜入し、非常にイヤな予感がして間もなく、バンドゥンへの高速鉄道の建設パートナーが本当に日本から中国になってしまったものでした。しかし、そんなジョコウィ政権肝煎りの方針転換も、その後ロクに進捗がなく、次の大統領選を控えた2019年6月完成など到底覚束ないことから、この問題に関して完全にハシゴを外された日本側の嘲笑するところとなっているのは実にやむを得ないところでしょう。とりわけ日経新聞は継続的にこの問題を採り上げており、去る5日の記事では「いっそのこと中国の出資比率を大幅に上げてもっと優遇することで資金確保を急ぐか、はたまた完全頓挫か……(その場合の政府による補償ヨロシク♡)」という意見まで噴出しており、足並みは完全にバラバラであることを伝えています。ジョコウィはリニに騙され (※)、この手の経済協力で中国との関係強化を、と甘い夢をみたのかも知れませんが、それが通じないのが「一帯一路」の「中国夢」。トランプ政権のゴタゴタで、米国の駐インドネシア大使すら未だに決まらない中、先日のASEAN会議が象徴する通りに中国が一方的に影響力を強め、気がつけばナトゥナ海をはじめインドネシアの国益は大幅に削がれてしまうことでしょう。
 (※パクアン急行様から伺ったところによると、リニ国営企業相をめぐっては最近続々と中国がらみの汚職の可能性が浮上し、メディアの格好のネタになっているとか)



 というわけで、何となくではありますが、結局バンドゥンへの鉄道輸送は従来通りにKAIの線路を使ったものが今後もメインであり続けるような気がしてきました。そういえば、山あり谷ありの隘路の単線も、ここ数年来の改良で複線区間が増えましたし……。
 また、バンドゥンと並んでいち早い新線建設が取り沙汰されるのがチルボンへの中距離輸送ですが (さらに東のスマラン・スラバヤへ)、日本の肝煎りによる電化・高速化も、これまでリニの影響で中国の顔色を伺いフラフラと腰が定まらなかったジョコウィ政権では今後もどうなることやらという気がしています。
 そこで、現時点での個人的妄想結論は……「バンドゥン行きのアルゴ・パラヒャンガン万歳!」「チルボン行きのアルゴ・ジャティ万歳!」ということに尽きます (笑)。上の画像は、昨年の時点ではボロ客車の巣窟だったアルゴ・パラヒャンガン、下の画像は、アコモ改良の小窓車がズラリと並んで壮観なアルゴ・ジャティです。天気がとにかく悪かった昨年の客レ撮影にあって、この2カットは辛うじて薄日が射してくれたという特選カットです……(「へ?これでも?」と言われそうですが ^^;)。
 しかし、その後パクアン急行様がブカシ線で撮り貯められた画像を日々拝見しておりますと、これらの列車にもいろいろと変化の波が押し寄せているようです。まずアルゴ・パラヒャンガンの1等車については、1960~80年代製のボロの寄せ集めであったはずが、2016年以後の新型車急増の影響で、90年代以後の大窓1等車が増え、窓の低いボロは風前の灯火になりつつあるとか。まぁ、座り心地は比較にならないほど90年代以後の新造車の方が良いですが……。いっぽうアルゴ・ジャティにつきましては、2010年頃に新造された小窓1等車で統一された編成美が夢のようでしたが (同じ近距離特急だというのに、パラヒャンガンとは比較にならないほどの好待遇!)、この間のレバラン臨では臨時アルゴ・ジャティがオール新型編成で運転されたようで、通常時においてもこのオール小窓編成が過去のものになる日も近いことでしょう……。
 何やらここに来て、電車よりも客車の方が風雲急を告げている気がしますが、いやいや待て、電車についてもビッグニュースが……(続く)。