地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

木曽路歩き鉄 (6) 奈良井の林鉄車両

2017-08-21 18:00:00 | 保存・園内・特殊車両


 先日、如何にもテレビ東京らしい安上がりな企画として (?)、芸能人がリレー形式で中山道 (熊谷~軽井沢) を歩くという番組が放送されましたが、自分が既にスタコラ歩いたところを出演者がヒーヒー言いながら歩くのを眺めるのは実に面白かったです。「をいしょこたん!高崎で真っ昼間ウダウダしていて、夕方になって本格的に歩き出すとはどういうこっちゃ!」「把瑠都関に碓氷峠の刎石坂を登らせるのは企画として鬼畜過ぎる……」などと、画面に向かってツッコミを入れながら (←キモッ!)。
 そんな中山道、明治半ば以降の鉄道の開通、そしてここ30~40年はロードサイドショップの発達によって衰退が進んでいるのは否めず、宿場によっては火事によって跡形もなかったりします。木曽路の場合、上松は火事に見舞われて以来フツーの昭和の街並みですし (それはそれで将来「昭和遺産」になるでしょう)、贄川・宮ノ越・野尻は衰退著しく、単に旧家が立ち並ぶ通りに過ぎなかったりします。しかし奈良井については、鳥居峠手前ということで多くの旅人が宿をとり、それゆえに「奈良井千軒」と呼ばれるほど繁栄を極めた結果、昭和40~50年代になっても往年の建物が数多く残り、今では街並み保存活動を通じ見事な観光地として復活しています。



 というわけで、奈良井駅は通常普通列車しか止まらず、辛うじて特急待避のための副本線を備えつつも基本的には無人ですが、観光シーズンには特急「しなの」が臨時停車します。371系がJRC引退前の最後の花道を木曽路で飾った際にも、奈良井が終点・折返し駅となりました。
 そんな奈良井にこのたび泊まったことで、これまでゲットしていなかったマイクロの371系 (シングルアーム車は模型店に大量?在庫中)をゲットしようか、真剣に悩んでいるところです。I門の叩き売りセール対象品になるのを待つべきか?? (^^;
 それはさておき、最近は奈良井を訪れる観光客のほとんどが車や団体バスを利用しており (新宿~木曽福島間の高速バスは一日2往復で、川を挟んで宿場と反対側の国道19号線に停まるため、使い勝手が悪いと思われます)、そのために道の駅が整備され、線路と奈良井川のあいだの相当な面積が駐車場となっています。ただ、実はこうした道の駅用地は、かつて木曽森林鉄道ネットワークの一端を構成していた黒川線の土場=貯木場を転用しているようで、道の駅整備にあたっては単純に遊休地を利用しただけだったのでしょう。
 そんな道の駅の片隅に、当時のよすがを偲ぶ存在として、加藤製ミニロコと客車、そして運材台車が保存されています。そして、斜光線が何とも絶妙なタイミングで到着しましたので、余りにも素晴らしい見映えに思わず激写しまくりでした♪ 塩尻駅から延々と歩いて来た一日の最後にこんなシーンを拝めれば、疲れも何処かに吹っ飛ぶというもので、夕食時のビールが最高に美味かったことは言うまでもありません。
 保存状態については、果たして良いのか悪いのか……。一応極度の荒廃と呼べるほどではない思ったのですが、後日いろいろググってみますと、2013年に晴れて道の駅脇に移設されるまでは、中央線の線路脇で荒れるに任せた状態だったとか。このような位置に移ってきた以上、今後は時折補修が加えられ、永きにわたって林鉄の往年の繁華を伝えるよすがとなることでしょう。


 左側面に「B型王営」とありますので、B型客車であるのは確かだとして、王営=王滝営林署ということで、もしかすると奈良井での生え抜きではなく、上松を起点とする本線格で活躍していた車両を後に搬入してきたのかも知れません。



 運材台車。伐採した材木そのものを台枠として長大編成化し、山に戻るときには台車のみを連結して短い編成になるという、最低限の簡素なスペックです。