
長年にわたり都営新宿線の象徴として君臨してきたギンギラコルゲートの都営10-000形は、周知の通り10-300形による置き換えが進み、この初夏以後は僅かに10-250編成が残るのみとなっていました。しかし、その10-250編成も先月半ばを以て運用を離脱し、若葉台送りとなって廃車されたとのこと。とにかくこの、如何にも昭和50年代的センスを凝縮した車体と電機子チョッパの組み合わせをもう楽しめないというのは、返す返すも寂しいことです……。

それにしても、10-000形の引き際の静けさは、如何にもこの車両らしい地味さを象徴しているのかも知れません。既にごく僅かとなった今年の春以降でも、駅の先端にいるヲタをほとんど見かけず、離脱直前の10-250Fが正面にごく小さな惜別ステッカーを貼ったところで、凄まじい数のヲタが集結したとは言えない状態のまま、ある日ひっそりと、さよなら運転も行わずに消えていったという印象があります。私の場合も、本八幡から橋本まで結構距離がある中、この編成だけを狙って沿線に向かうというのは雲をつかむような話だと思いまして、結局昨年の上半期に用務のついでに撮影したカットがあることを以て満足することにしました。今はただ、こうして何気ない日常を快走する姿を眺めながら、燻し銀のような電車と触れ合うことが出来た思い出に浸るばかりです。