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ミステリ感想-『亜愛一郎の狼狽』泡坂妻夫

2000年08月14日 | ミステリ感想
~収録作品~
DL2号機事件
右腕山上空
曲がった部屋
掌上の黄金仮面
G線上の鼬
掘出された童話
ホロボの神
黒い霧


~感想~
『DL2号機事件』
奇妙な論理が、奇異な心理と行為を照らしだす。妄想あふれる怪作。

『右腕山上空』
豪快な一本背負いも「技あり」までか。強引にすぎる解決はいまひとつ。だが、目に浮かぶトリックが映える。

『曲がった部屋』
奇怪な行動の裏に潜む、曲がった論理。楽しい。

『掌上の黄金仮面』
これは恐れいった。見れば見るほどよく練られたトリック。不可能状況が逆転の発想で鮮やかに解かれる傑作。

『G線上の鼬』
不可思議な論理が不可能犯罪をひもとく。単純明快ながら鉄壁に近いトリック。

『掘出された童話』
暗号オンリーだが、物語として十分に面白い。よくこんなの作ったなあ。

『ホロボの神』
風通しの良さそうな、衆人環視の密室。設定に比して、トリックはやや物足りないが。

『黒い霧』
本領発揮の軽妙なスラップスティック。強引な真相が心地よい。


~総括~
こんなに勘が鋭い探偵も珍しい。軽妙・明快な筆致で描かれた、不可能状況のオンパレード。
珠玉の傑作短編集。


00.8.14
評価:★★★★ 8
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