小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『不透明な殺人』アンソロジー

2003年09月04日 | ミステリ感想
~収録作品~
女彫刻家の首  ――有栖川有栖
アニマル色の涙  ――鯨統一郎
複雑な遺贈  ――姉小路祐
スノウ・バレンタイン  ――吉田直樹
OL倶楽部にようこそ  ――若竹七海
重すぎて  ――永井するみ
エデンは月の裏側に  ――柄刀一
最終章から  ――近藤史恵
ホワイト・クリスマス  ――麻耶雄嵩
ダブル・プレイ  ――法月綸太郎


~感想~
『女彫刻家の首』
古くさいトリックだなあ。ひねりもなにもない、当たり前の切断の理由。新味がなさすぎる。

『アニマル色の涙』
(ネタバレ→)あのさ。それならネコより馬場にならないか?

『複雑な遺贈』
素材はいいと思うが、展開・描写・人物造型が台無しに。

『スノウ・バレンタイン』
どこがミステリやねんにしてどこが殺人やねんにしてどこが不透明やねん。ただのSF。でも面白かった。

『OL倶楽部にようこそ』
参った。調子のいい時の氏の切れ味はすごい。

『重すぎて』
あったりまえの展開。目新しいことのひとつもない。

『エデンは月の裏側に』
もうこの人はいいや。

『最終章から』
本書中、もっともミステリらしかった。でも決めの一言に伏線が張られていないのはいただけない。
まさか(ネタバレ→)必要最低限のもの が伏線だったなんて言わないよな。

『ホワイト・クリスマス』
幕開けで面食らった。それにつづくあたりまえの展開にも面食らった。
微妙な伏線にも面食らい、退屈な結末に面食らう。どうした麻耶雄嵩。
こんな結末じゃ(ネタバレ→)男にした意味ないじゃん。

『ダブル・プレイ』
さすがさすがの精密細工に華麗な結実。法月絶好調。


~総括~
全体的に好みでない。そんななか、掉尾を飾る法月作品に安心感心。法月はすごいね。ヤツは勇者だね。すくなくともアストロンは使えるね。
そもそも本書は選作がおかしい。不透明な作品はほぼ皆無。それどころか殺人が起こるのは10作品中7作品。看板に偽りありもいいところ。


03.9.4
評価:★☆ 3
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