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ミステリ感想-『一応の推定』広川純

2011年04月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
駅で死んだ老人は事故死だったのか、それとも愛しい孫娘のための覚悟の自殺だったのか。
定年間近のベテラン保険調査員・村越の執念の調査行が、二転三転の末にたどり着いた真実とは?
06年第13回松本清張賞受賞作。


~感想~
そういえば松本清張賞の長編を読むのはこれが初めてで、松本清張の作品自体も読んだことがないのだが、僕の貧困な想像に基づいた松本清張作品のイメージそのままであった。
社会派な題材を軸に据えながら、具体的な解決策を示すでもなく、問題提起されただけなのはしかたないとして、何もかも予想通りの展開で最初から最後まで流れるのはネック。
抑えた筆致は読みやすく、人物造形も類型的ではありながら丁寧に描かれているものの、平坦なストーリー展開とあいまって地味な印象を受けてしまうのも惜しいところ。
保険調査会社の内情は興味を引くものの、その他にはいわゆるフックとなる(あるいは作品独自のものとして売りになる)部分が一つもなく、そのあたりは昨今の江戸川乱歩賞と似たり寄ったり。新人賞は乱歩賞に近づいていくのだろうか。
決して退屈な作品ではないものの、取り立ててひとに薦められるものではないだろう。


11.4.8
評価:★★☆ 5
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