~あらすじ~
奇面館の主人・影山逸史に招かれた6人の男たち。館に伝わる奇妙な仮面で全員が“顔”を隠し、季節外れの吹雪で館が孤立したとき、“奇面の間”に転がった凄惨な死体はなにを語る?
前代未聞の異様な状況下、名探偵・鹿谷門実が推理を展開する。
~感想~
↓プロットにややネタバレ注意↓
待望の館シリーズ第九弾。2500枚超の「暗黒館の殺人」、まさかのジュヴナイル「びっくり館の殺人」と近年は迷走気味のシリーズだが、今回は800枚とすっきり短めにまとめてきた。
仮面の館、仮面の主人、仮面の来客、吹雪の山荘、首切り殺人とガチガチの本格ガジェット目白押しながら、作中で探偵が指摘するように「意匠性の欠如」した雰囲気が漂う。
館シリーズといえばアレ系トリックだが、今回のアレは物語の本筋には絡むものの、事件の真相にはほとんど関与せず、しかもエピローグで裏事情が語られて、楽屋オチめいた空気が立ち込める。
「十角館」~「暗黒館」まで(びっくり館は恥ずかしながら全く筋を覚えていないので除く)物語とアレががっちり絡み合い、独特の知的興奮を味わえるのが館シリーズと思っていたのに、どうにも今回は薄味。
薄いのはアレだけではなく、おそらくメインのトリックとなるだろう切断の理由もそうで、たしかに言われてみれば単純明快な、まさに盲点に入っていた納得の理由なのだが、あまりに単純すぎて拍子抜けしてしまったのも事実。
言ってしまえばアレは作者から読者へのサービス程度の存在意義しかなく、言葉遊びと幻想風味まで加わり、これは「やりすぎていない倉阪鬼一郎」ではなかろうかと思えてしまう。
とはいえ、こちらが勝手に館シリーズの最新作だからと期待しすぎ、盛り上がりすぎていたのもいけないだろう。
本格ミステリ界に金字塔を打ち立てた館シリーズとしてはすこし食い足りない。しかし普通のミステリとしては十分に及第点以上が与えられる。
なにはともあれ久々に本格らしい本格が読めて楽しかった。
12.1.9
評価:★★★★ 8
奇面館の主人・影山逸史に招かれた6人の男たち。館に伝わる奇妙な仮面で全員が“顔”を隠し、季節外れの吹雪で館が孤立したとき、“奇面の間”に転がった凄惨な死体はなにを語る?
前代未聞の異様な状況下、名探偵・鹿谷門実が推理を展開する。
~感想~
↓プロットにややネタバレ注意↓
待望の館シリーズ第九弾。2500枚超の「暗黒館の殺人」、まさかのジュヴナイル「びっくり館の殺人」と近年は迷走気味のシリーズだが、今回は800枚とすっきり短めにまとめてきた。
仮面の館、仮面の主人、仮面の来客、吹雪の山荘、首切り殺人とガチガチの本格ガジェット目白押しながら、作中で探偵が指摘するように「意匠性の欠如」した雰囲気が漂う。
館シリーズといえばアレ系トリックだが、今回のアレは物語の本筋には絡むものの、事件の真相にはほとんど関与せず、しかもエピローグで裏事情が語られて、楽屋オチめいた空気が立ち込める。
「十角館」~「暗黒館」まで(びっくり館は恥ずかしながら全く筋を覚えていないので除く)物語とアレががっちり絡み合い、独特の知的興奮を味わえるのが館シリーズと思っていたのに、どうにも今回は薄味。
薄いのはアレだけではなく、おそらくメインのトリックとなるだろう切断の理由もそうで、たしかに言われてみれば単純明快な、まさに盲点に入っていた納得の理由なのだが、あまりに単純すぎて拍子抜けしてしまったのも事実。
言ってしまえばアレは作者から読者へのサービス程度の存在意義しかなく、言葉遊びと幻想風味まで加わり、これは「やりすぎていない倉阪鬼一郎」ではなかろうかと思えてしまう。
とはいえ、こちらが勝手に館シリーズの最新作だからと期待しすぎ、盛り上がりすぎていたのもいけないだろう。
本格ミステリ界に金字塔を打ち立てた館シリーズとしてはすこし食い足りない。しかし普通のミステリとしては十分に及第点以上が与えられる。
なにはともあれ久々に本格らしい本格が読めて楽しかった。
12.1.9
評価:★★★★ 8