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ミステリ感想-『地獄の門』法条遥

2012年05月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
突如、地獄に落とされた良太。当惑する彼が美しき悪魔から知らされたのは、自分が何者かによって殺されたという事実だった。
良太は復讐のため、悪魔を騙し、記憶を持ったまま転生することを誓うが……。
一方現世では、良太の恋人であり刑事の愛が、犯人への憎悪をたぎらせていた。


~感想~
ホラー小説大賞に輝き、SFミステリとしても優れていた「バイロケーション」でデビューを飾った作者の第二作。
しかしものすごい「コレジャナイ感」に襲われた。
デビュー作に続き角川ホラー文庫から出版されたのだが、今回はミステリはもちろんホラーにも針は振れず、とにかく中途半端。
書店員サマが「二度読み必至!」と煽るSFミステリ的要素は、二度読みどころか一読目の中盤あたりでモロバレ状態。
いちおうメイントリックの後にもうひとつ、多少はホラーらしい、語り手を文字通り地獄の底に叩き落とす仕掛けもなくはないのだが、少なすぎる登場人物とあからさますぎる伏線のせいか、そちらもノーガードのモロバレ状態。
「バイロケーション」のような延々と綱渡りを続けるトリックと伏線の妙を期待しすぎたところもあるが、それにしてもあまりにバレっバレの想定通りに転がる展開には、レーベルがホラーのくせに全くホラー要素がない点とあいまって、コレジャナイ感を終始受けてしまった。
まあ、次に期待したい。


12.
評価:★★☆ 5
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