~あらすじ~
芳雄の住む町で、猫の連続殺害事件が発生した。芳雄は同級生と探偵団を結成し犯人捜しを始めることに。
そんなとき、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ」と告げられる。
鈴木君の「神様ゲーム」に付き合う芳雄は、犯人を教えて欲しいと頼むのだが……。
~感想~
さすが俺たちの麻耶雄嵩!
今作は「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」がコンセプトのレーベルの一つで、法月綸太郎「怪盗グリフィン、絶体絶命」や乙一「銃とチョコレート」のようなまさに子供をターゲットにしつつも大人をも楽しませる娯楽作品がある一方で、殊能将之「子どもの神様」や島田荘司「透明人間の納屋」のような、コンセプトを逆手に取ったように子供にトラウマを植え付けるのが目的のような作品もちらほらあるのだが、この「神様ゲーム」は明らかに後者。むしろ狙ってやってるんじゃないかと勘ぐりたくなるようなトラウマ製造機である。
だって、どこからどう見ても、どこをどう切り取ってもいつもの麻耶雄嵩なのだ。
容赦のない死体描写、容赦のない作中人物への扱い、容赦のない探偵役、と子供相手にも容赦のないセメントファイト。
主人公はもちろん読者も「あたしゃ神様だよ」と突き放す衝撃のラストの破壊力は、大人の読者にも十分にトラウマ物。
ミステリの定番トリックや定番ネタを一つずらすことで、見たこともない作品を仕上げる作者だが、今回のテーマは「どんなにありえないことであっても他の全ての可能性を消していって残ったものならば真実である」というミステリマニアにはおなじみの格言の「悪用」といったところか。このとんでもない結末は、昨年に話題をさらった「メルカトルかく語りき」にも通じるものがある。
10年後くらいに「子供の頃にトラウマになった本を挙げるスレ」等で名前が挙げられても不思議ではないし、その時のことが今から楽しみである。
ところで単行本版ではこちらもトラウマ必至の挿絵があったそうだが、ノベルス版では収録されていないのは、やはり「透明人間の納屋」で挿絵を白黒にしたせいで(?)子供の落書きにしか見えなかったからだろうか。
12.
評価:★★★ 6
芳雄の住む町で、猫の連続殺害事件が発生した。芳雄は同級生と探偵団を結成し犯人捜しを始めることに。
そんなとき、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ」と告げられる。
鈴木君の「神様ゲーム」に付き合う芳雄は、犯人を教えて欲しいと頼むのだが……。
~感想~
さすが俺たちの麻耶雄嵩!
今作は「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」がコンセプトのレーベルの一つで、法月綸太郎「怪盗グリフィン、絶体絶命」や乙一「銃とチョコレート」のようなまさに子供をターゲットにしつつも大人をも楽しませる娯楽作品がある一方で、殊能将之「子どもの神様」や島田荘司「透明人間の納屋」のような、コンセプトを逆手に取ったように子供にトラウマを植え付けるのが目的のような作品もちらほらあるのだが、この「神様ゲーム」は明らかに後者。むしろ狙ってやってるんじゃないかと勘ぐりたくなるようなトラウマ製造機である。
だって、どこからどう見ても、どこをどう切り取ってもいつもの麻耶雄嵩なのだ。
容赦のない死体描写、容赦のない作中人物への扱い、容赦のない探偵役、と子供相手にも容赦のないセメントファイト。
主人公はもちろん読者も「あたしゃ神様だよ」と突き放す衝撃のラストの破壊力は、大人の読者にも十分にトラウマ物。
ミステリの定番トリックや定番ネタを一つずらすことで、見たこともない作品を仕上げる作者だが、今回のテーマは「どんなにありえないことであっても他の全ての可能性を消していって残ったものならば真実である」というミステリマニアにはおなじみの格言の「悪用」といったところか。このとんでもない結末は、昨年に話題をさらった「メルカトルかく語りき」にも通じるものがある。
10年後くらいに「子供の頃にトラウマになった本を挙げるスレ」等で名前が挙げられても不思議ではないし、その時のことが今から楽しみである。
ところで単行本版ではこちらもトラウマ必至の挿絵があったそうだが、ノベルス版では収録されていないのは、やはり「透明人間の納屋」で挿絵を白黒にしたせいで(?)子供の落書きにしか見えなかったからだろうか。
12.
評価:★★★ 6