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ミステリ感想-『蒸発 ある愛の終わり』夏樹静子

2022年06月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ベトナムでゲリラの襲撃に遭い九死に一生を得た冬木は、帰国後すぐに不倫相手の美那子に会いに行くが、彼女は謎の失踪を遂げていた。
一方、札幌行きのジェット機では、飛行中の機内から乗客が蒸発したように消え失せるという怪談めいた事件が起こっていた。

1972年日本推理作家協会賞、東西ベスト(1985)64位

~感想~
冒頭で「飛行中の機内から乗客が蒸発」という魅力的な謎が描かれるが、あまりにも堅牢な密室だけにトリックは現実的な、言ってしまえばがっかりな代物なのであまり期待しない方がいい。
彼女はどこへ「蒸発」したのか?という謎と、失踪から端を発する数々の事件が連鎖して行く展開が読みどころで、結末にはきっちり意外な真相と犯人が用意されている。
メインではないものの時刻表トリックが駆使されたり、不倫と女の過去が主軸だったりと2時間サスペンス的な要素は目につくが、日本推理作家協会賞の名に恥じない佳作ではある。


22.6.4
評価:★★★ 6
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