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ミステリ感想-『ゼロの誘拐』深谷忠記

2024年10月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
塾帰りの生徒が殺され、経営者の木暮のもとには責任を問う脅迫電話が届く。
そして木暮のまだ乳児の娘が誘拐されるが、犯人は「5日間は無事だ」となぜか期日を切り、はじめは身代金も要求せず…。


~感想~
冒頭、まるで実在の事件の裏側を小説化したかのようにうたい、さらに作中で「ある実験を試みた」と言うが、無論架空の事件であるとともに、87年10月出版と綾辻行人「十角館の殺人」の翌月でもあり、この頃はまだこの仕掛けを施すために但し書きが必要だっただけなので、過度の期待は禁物である。
内容は誘拐事件に様々な事件を絡めつつ、ほぼ昭和ミステリらしいお色気シーンも挟んで最後は一つにまとめ上げる丁寧なもので、可もなく不可もなく楽しめる。

あまりに面白かったのでネタバレながら紹介してしまうが、終盤に犯人がまるで犯行を否定するように「それは……それは、違う」「真実を知ってもらいたい」と訴えながら単に計画的ではなかっただけで普通に殺してたのは笑った。違わねえよ!殺ってんじゃねえか!!


24.10.12
評価:★★★ 6
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