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再読ミステリ感想-『依頼人は死んだ』若竹七海

2020年10月29日 | ミステリ感想
~あらすじ~
念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持ちこまれる様々な事件。少し切なく、少し怖い連作短編集。

00年このミス16位。


~感想~
葉村晶シリーズ第3弾。
再読だが感想は初読時とほとんど同じで、良質な粒ぞろいの短編集が最終話で一気にバカミスに変貌する。
バカというかダメというか急にジャンルが変わってしまうのと、それを認めたらなんでもありでミステリとして成立しないある要素が受け入れがたい。
なので今回も「なかった! 最終話なんてものはなかった!」として話を進めると、ニヒルな女探偵を主役にしたハードボイルド味あふれる作風に、本格ミステリ的なトリックや真相を混ぜた…などという生やさしいものではなく、ザ・本格ミステリなトリックや真相がハードボイルドを塗りつぶすほどに色濃い。
これも初読時はあまりの本格っぷりに面食らってしまったので、そういうものだと承知して読むことをおすすめする。
バリバリの本格ミステリなトリックや、突飛にすぎる最終話さえ受け入れられれば、ハードボイルド好きにも本格好きにもアピールできる良作ばかりである。


再読20.10.26
評価:★★★ 6

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