小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『ステップファザー・ステップ』宮部みゆき

2003年05月12日 | ミステリ感想
~収録作品~
ステップファザー・ステップ
トラブル・トラベラー
ワンナイト・スタンド
ヘルター・スケルター
ロンリー・ハート
ハンド・クーラー
ミルキー・ウエイ


~感想~
この筆力にユーモアという形態はまさに絶妙。ミステリ臭を薄くして、逆にミステリっぽさが増したような。
いつになく伏線が利いていて、ようやく氏の真価を見た思い。次作が待たれる。


03.5.12
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『淋しい狩人』宮部みゆき

2003年05月10日 | ミステリ感想
~収録作品~
六月は名ばかりの月
黙って逝った
詫びない年月
うそつき喇叭
歪んだ鏡
淋しい狩人

日本推理作家協会賞 候補 ――六月は名ばかりの月


~感想~
どのへんが「連作短編」かということはともかく、ここで加納朋子氏の言葉を引用したい。
「たとえ作り事でも、ご都合主義でもいい。謎があって、そして答えがある。なんて、シンプルなのでしょう? 現実にはなかなかない、そのすっきりとした形が、私は好きなのです」(『魔法飛行』あとがきより)
現実的な面に目を奪われ、娯楽性が希薄に過ぎはしまいか?
これは小説なのだから、ゲンジツ的な味も素っ気も夢もない真相の数々はどうにもいただけない。
比喩といい、氏にしては文章も下手。以上、毒吐き。


03.5.10
評価:☆ 1
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ミステリ感想-『長い長い殺人』宮部みゆき

2003年05月06日 | ミステリ感想
~あらすじ~
事件を語るのはすべて、当事者の持つ「サイフ」たち。
いくつもの事件がからみ合い、やがて1つの事件へと収束していく。


~感想~
結末はあっけなく、唐突に「犯人」が現れたり、余分な描写を省いたため伏線があからさますぎたり、といった欠点は多々あるが、充分面白く読めた。やはり筆力は圧倒的。この題はなんなんだろう?


03.5.6
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『人質カノン』宮部みゆき

2003年05月02日 | ミステリ感想
~収録作品~
人質カノン
十年計画
過去のない手帳
八月の雪
過ぎたこと
生者の特権
漏れる心

直木賞候補


~感想~
どこがミステリやねん。
全編通して、筆力だけに物を言わせただけのような。
楽に読み進められ、損をしたとは(それほど)思わないのが救いではある。
裏返せば、筆力がなければのきなみ論外のありきたり短編集。


03.5.2
評価:なし 0
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ミステリ感想-『嘘でもいいから誘拐事件』島田荘司

2003年05月01日 | ミステリ感想
~収録作品~
嘘でもいいから誘拐事件
嘘でもいいから温泉ツアー


~感想~
短編になっても印象は変わらず。短いだけになおさら気軽に読める。


03.5.1
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『網走発遙かなり』島田荘司

2003年05月01日 | ミステリ感想
~収録作品~
丘の上
化石の街
乱歩の幻影
網走発遙かなり
本格ミステリ・ベスト100 82位、文春9位


~感想~
現在のところ著者唯一の連作短編集。

『丘の上』
解ってみればなんということもない真相。それでこれだけの怪奇味を見せる手腕。

『化石の街』
複雑な細工ながら非常に解りやすく描かれるさすがの力量。

『乱歩の幻影』
おお、奇想だ。どこまでが創作かまったく解らない造型に脱帽。

『網走発遙かなり』
魅力的な謎が案外あっけなくまとまってしまう。


~総括~
連作ではあるが、大仕掛けではない。もちろん読んで損はしないが、読後感はやや物足りないか。


03.5.1
評価:★★☆ 5
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