小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『心とろかすような』宮部みゆき

2003年05月16日 | ミステリ感想
~収録作品~
心とろかすような
てのひらの森の下で
白い騎士は歌う
マサ、留守番する
マサの弁明


~感想~
『心とろかすような』
緻密な設計、ではないが丁寧に編まれた構成を、流れるような筆力でぐいぐいと引っぱる、いかにも氏らしい掌編。ただ……どうしていつもクライマックスを省くのだろう?

『てのひらの森の下で』
丁寧で流れるような――いつものお話。インパクトはあまりないが読後感はいい。伏線の張り方が不自然すぎ。

『白い騎士は歌う』
極限まで暗くするか明るくすればもっと映りが良いのでは? 灰色の印象。

『マサ、留守番する』
犬視点であることをようやく活かしたような(失礼)。結末が暗く、消化不十分。

『マサの弁明』
妙な小ばなし。


~総括~
まあ、氏らしいいつもの品々です。個人的には進也(およびマスター)の登場が一編きりで悲しい。
鮮烈な印象も爽快さも残さない曇天のような短編集。


03.5.16
評価:★★☆ 5
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